「毎日歩いているのに、なかなか痩せない」「何分・どのくらいの速さで歩けばいいのか分からない」「運動は苦手だけど、ウォーキングなら続けられそう」——そんな思いでこの記事にたどり着いた方が多いのではないでしょうか。
最初に結論をお伝えします。ウォーキングは続けやすく健康づくりにも役立つ運動ですが、「歩くだけで自動的に痩せる」わけではありません。正しいフォーム・適切な強度・歩く量、そして食事との組み合わせという“コツ”を押さえることで、はじめてダイエット効果を引き出しやすくなります。逆に言えば、ここを外したまま何となく歩いていると、努力のわりに結果が出にくいのです。
この記事を書いているのは、熊本市南区・南熊本駅エリアでパーソナルジムを運営するRBDジムです。東京大学薬学部卒・薬剤師のトレーナーが在籍し、「体の中で何が起きているか」という科学的な視点から指導を行っています。本記事でも、巷の「これで痩せる!」という煽りではなく、厚生労働省などの公的資料をもとに、誠実に・正確にお伝えします。
この記事を読むと分かること
- ウォーキングで痩せる仕組みと、現実的な期待値(消費カロリーの実際・公的な推奨量)
- 効果を最大化する「7つのコツ」(根拠・具体的な手順・やりがちなNGをセットで)
- 「歩いても痩せない」原因と、続けるための工夫・安全面の注意点
なお、体の変化のスピードや度合いには個人差があり、「必ず・誰でも・◯kg痩せる」と保証するものではありません。この前提を正直にお伝えしたうえで、解説を進めます。スマホでも読みやすいよう、要点は箇条書きと表でまとめています。気になる章から読み進めてください。
ウォーキングで本当に痩せる?まず知っておきたい3つの事実
コツの前に、土台となる「ウォーキングと減量の関係」を3つの事実で整理します。ここを理解しておくと、後半の7つのコツが「なぜ効くのか」までストンと腑に落ちます。
事実1:ウォーキングは「体脂肪を使う」有酸素運動
ウォーキングは、ジョギングや水泳と同じ有酸素運動の仲間です。有酸素運動は、酸素を使って体内の糖質や脂肪をエネルギーに変えながら、比較的長く続けられる運動を指します。
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、内臓脂肪を減らすには、ウォーキングなどの有酸素運動が効果的であると紹介されています。運動を始めるとまず糖質が多く使われ、継続して20分前後を過ぎたあたりから、エネルギー源として体脂肪の利用割合が高まっていくとされています(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「内臓脂肪減少のための運動」)。
つまりウォーキングは、体脂肪を“燃料”として使える運動です。ここが、ダイエットでウォーキングがすすめられる大きな理由です。
事実2:でも、消費カロリーは意外と小さい
ここが、多くの解説記事が正直に語らないポイントです。ウォーキング単体で消費できるカロリーは、思っているほど大きくありません。
運動の消費カロリーは、次の式でおおまかに見積もれます。
消費カロリー(kcal) ≒ 体重(kg) × METs(メッツ) × 運動時間(時間)
METs(メッツ)とは、安静時を「1」としたときに、その運動が何倍のエネルギーを使うかを表す強度の指標です(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「メッツ」)。普通歩行は約3メッツ、速歩(早歩き)は約4〜5メッツとされています。
この式で、体重60kgの方が速歩(4メッツ)で30分歩いた場合を計算すると——
- 60(kg) × 4(METs) × 0.5(時間) = 約120kcal
おにぎり1個が約180kcal、ショートケーキ1個が約350〜400kcal前後であることを考えると、「30分しっかり速歩しても、おにぎり1個に届かない」のが現実です(数値はあくまで目安で、個人差があります/出典: スポーツクラブ ルネサンス magazine、ドコモ dヘルスケア)。
だからこそ、後ほど詳しく述べるように、ウォーキングだけで痩せようとするのではなく、食事(摂取カロリー)とセットで考えることが、減量成功の分かれ目になります。
事実3:「20分続けないと脂肪が燃えない」は誤解
「脂肪が燃え始めるのは20分から。だから20分未満の運動は意味がない」——一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。これは、今では正確とは言えない“古い通説”です。
確かに、運動の経過とともに脂肪の利用割合は高まっていきます。しかし、運動開始直後から脂肪はちゃんと使われています。「20分を超えるまで脂肪はまったく燃えない」わけではありません。
近年は、1回の運動時間にこだわるより、こま切れでもよいので“1日・1週間の合計時間”を確保することが重視されるようになっています(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「内臓脂肪減少のための運動」)。朝10分・昼10分・夜10分の合計30分でも、まとめて30分歩くのと近い効果が期待できる、という考え方です。
「まとまった時間がとれないから」とあきらめていた方にとって、これは朗報です。
薬剤師トレーナーの視点では、ダイエットの本質はシンプルです。消費カロリーが摂取カロリーを上回る状態を、無理なく続けられるかどうか。ウォーキングは「一発で大量に脂肪を燃やす運動」ではなく、「毎日の消費を底上げし、運動習慣の土台をつくる運動」と捉えるのが正解です。この見立てを持つだけで、過度な期待による挫折を防げます。
【結論】ウォーキングで痩せる7つのコツ
ここからが本記事の核です。「ただ歩く」を「狙って歩く」に変えるための7つのコツを、「なぜ効くのか(根拠)/今日からできる具体行動/やりがちなNG」の3点セットで解説します。すべて「痩せる」と断定するものではなく、効果を引き出しやすくする工夫として読んでください。
コツ1:正しいフォームで歩く
同じ時間・同じ距離を歩いても、フォーム次第で使われる筋肉も消費効率も変わります。だらりと歩くのではなく、全身を使って歩くことが第一歩です。
なぜ効く
姿勢を正して大きく歩くと、お尻や太もも、体幹といった大きな筋肉が動員されます。大きな筋肉を使うほどエネルギー消費は高まりやすく、姿勢の安定にもつながります。
今日からできる具体行動
- 背筋を伸ばし、目線はまっすぐ前へ(スマホを見ながらの下向き歩きはNG)
- かかとから着地し、つま先(母指球)で地面を蹴り出す
- 歩幅はいつもより少し広めを意識する
- 腕は前に出すより、ひじを軽く曲げて後ろに引くように振る
- 肩の力は抜き、下腹に軽く力を入れる
やりがちなNG
猫背でうつむき、足を引きずるように小股で歩くフォーム。これでは大きな筋肉が働かず、運動効率が下がります。
(出典: 美的.com、ハルメク、かたぎり塾 をもとに整理)
コツ2:速度は「息が弾む速歩」にする
ダイエット目的なら、のんびり散歩より少し速い“速歩(早歩き)”が効果的です。
なぜ効く
前述のとおり、普通歩行は約3メッツ、速歩は約4〜5メッツ。速く歩くほどメッツ(強度)が上がり、同じ時間でも消費カロリーが増えます(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「メッツ」)。
今日からできる具体行動(強度の目安)
- 「会話はできるが、歌うのはきつい」くらいの速さ
- うっすら汗ばみ、息が少し弾む程度
- 信号待ちで止まったら、再開時にまた少しペースを上げる
やりがちなNG
スマホを操作したり、おしゃべりに夢中になったりして、いつの間にかゆっくり散歩になっているケース。強度が落ちると、脂肪燃焼の効率も下がります。
| 歩き方 |
METsの目安 |
体感 |
| のんびり散歩 |
約2.5〜3 |
楽に会話・歌える |
| 速歩(早歩き) |
約4〜5 |
会話はできるが歌うのはきつい |
| 軽いジョギング |
約6 |
会話が途切れがち |
(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「メッツ」をもとに整理。数値は目安・個人差あり)
コツ3:時間・歩数の“目安”を持って歩く
「なんとなく歩く」から卒業するために、客観的な目安を持ちましょう。ここで頼りになるのが、公的なガイドラインです。
なぜ効く(公的推奨量)
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人に対して次のような身体活動が推奨されています(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」、日本スポーツ栄養協会)。
- 強度3メッツ以上の身体活動を、1日60分以上(歩行なら約8,000歩以上に相当)
- これは週に換算すると「週23メッツ・時」以上が目安
- あわせて、筋力トレーニングを週2〜3日
- 座りっぱなし(座位行動)が長くなりすぎないよう注意
また内臓脂肪を減らす観点では、週10メッツ・時以上の運動が一つの目安とされ、4メッツの速歩なら合計2.5時間(=1日30分×週5日程度)でこれに相当します(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「内臓脂肪減少のための運動」)。
今日からできる具体行動
- まずは1日8,000歩を当面の目標に(スマホの歩数計でOK)
- そのうち速歩を合計30分入れられると理想的
- 達成が難しい日は「昨日より+1,000歩」でも前進
やりがちなNG
「1日10,000歩を絶対に」と高い目標を掲げ、達成できない日が続いて挫折するパターン。数字はあくまで目安です。健康状態や体力に合わせ、できる範囲から始めてください。
補足:ここで挙げた歩数・時間は「健康づくり」のための目安であり、「この通りにすれば◯kg痩せる」という保証ではありません。あくまで“狙って歩く”ための物差しとして活用してください。
コツ4:歩幅を広げ、坂道・階段で強度を足す
「もっと効率を上げたい」という方は、同じ時間でも強度を上げる工夫を取り入れましょう。
なぜ効く
歩幅を広げると下半身やお尻の筋肉がより大きく動きます。さらに坂道や階段では、体を上方向に持ち上げる分、平地より多くのエネルギーを使います。
今日からできる具体行動
- いつもの歩幅+靴半分〜1足分を意識して広げる
- ルートにゆるやかな坂道を一区間入れる
- 駅やビルではエスカレーターより階段を選ぶ
- 慣れてきたら、速歩とゆっくりを交互に繰り返す(緩急をつける)
やりがちなNG
歩幅を広げようとして、上体が前のめりになったり、ひざに痛みが出るほど無理に大股にすること。フォームが崩れない範囲にとどめましょう。
コツ5:歩く「タイミング」を味方につける
いつ歩くかでも、得られるメリットは少しずつ変わります。ただし「この時間が一番痩せる」と断定はできません。メリットと注意点の両方を押さえて、生活に合うタイミングを選びましょう。
食後のウォーキング
食後に軽く体を動かすことは、食後の血糖値の急な上昇(いわゆる血糖値スパイク)をゆるやかにすることに関わるとされ、食後10分程度の短い歩行でも役立つ可能性が報告されています(出典: 糖尿病ネットワーク、タマノイ酢 ヘル酢タス)。食事のあと、片付けがてら10分歩く——これは無理なく続けやすい習慣です。
朝のウォーキング
朝に歩くと、生活リズムが整いやすく、その日の活動量を確保しやすいという利点があります。一方で、起床直後は体が温まっていないため、準備運動を入れ、無理のないペースから始めましょう。
【重要な注意】空腹時の運動について
「空腹時に歩くと脂肪が燃えやすい」と言われることがありますが、糖尿病で薬物治療を受けている方などは、空腹時の運動で低血糖を起こす恐れがあります。持病のある方は、運動のタイミングについて必ず主治医に相談してください。
やりがちなNG
「朝の空腹時こそ最強」と思い込み、体調や持病を無視して無理をすること。安全が最優先です。
コツ6:食事(摂取カロリー・PFC)とセットにする
ここが、RBDが最も強調したいコツです。ウォーキングの効果を決めるのは、実は「食事」と言っても過言ではありません。
なぜ効く
事実2で見たように、速歩30分の消費は約120kcal程度。せっかく歩いても、「歩いたご褒美」にケーキを1個食べれば、消費はかんたんに帳消しになります。減量には、運動で消費を増やすのと同時に、摂取カロリーとPFC(タンパク質・脂質・炭水化物)のバランスを見直すことが欠かせません。
今日からできる具体行動
- 毎食、タンパク質を一品(肉・魚・卵・大豆製品など)入れる
- 甘い飲み物や間食の“なんとなく摂取”を見直す
- 「歩いたから食べてOK」という相殺思考をやめる
やりがちなNG
逆に、極端な食事制限で一気に体重を落とそうとすること。これは筋肉(除脂肪量)まで削ってしまい、基礎代謝が下がり、かえってリバウンドしやすい体を招きます。食事は「減らす」より「整える」が基本です。
食事の組み立てに迷う方は、PFCバランスとは?ダイエットの基本で具体的な考え方を解説しています。また、無理な制限が代謝に与える影響については基礎代謝を上げる10の習慣もあわせてご覧ください。
薬剤師トレーナーの視点では、「食べないダイエット」は最も避けたい選択です。体は飢餓状態と判断するとエネルギーを節約し、筋肉を分解してでも省エネモードに入ります。結果として代謝が落ち、少し食べただけで戻る——これがリバウンドの正体です。歩く習慣と、筋肉を守る食べ方をセットにすることが、遠回りに見えて一番の近道です。
コツ7:筋トレを少し足して「痩せやすい体」を保つ
ウォーキング(有酸素運動)に、軽い筋トレを組み合わせると、ダイエットの土台がさらに安定します。
なぜ効く
有酸素運動だけを長時間続けたり、食事を減らしすぎたりすると、脂肪と一緒に筋肉も落ちやすくなります。筋肉量(除脂肪量)を保つことは、代謝を下げにくくし、太りにくい体をつくるうえで重要です。前述の「身体活動・運動ガイド2023」でも、筋トレを週2〜3日行うことが推奨されています(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット)。
今日からできる具体行動
- 自宅でスクワットや膝つき腕立てを、週2〜3日・各2〜3セットから
- ウォーキングの前後に軽く取り入れてもOK
- 「鍛える」より「筋肉を減らさない」意識で十分
やりがちなNG
「ウォーキングさえやれば筋トレは不要」と考えること。歩くだけでは、減量時に筋肉を維持しきれないことがあります。
自宅でできる筋トレの始め方は自宅で始める筋トレ完全ガイドで、短時間で強度を上げたい方はHIITトレーニング入門で詳しく紹介しています。
7つのコツまとめ表
| # |
コツ |
キーポイント |
主な根拠 |
| 1 |
正しいフォーム |
背筋・かかと着地→蹴り出し・腕は後ろへ |
大きな筋肉を使い効率UP |
| 2 |
速歩にする |
「会話はできるが歌えない」強度(4〜5メッツ) |
速いほど消費増(METs) |
| 3 |
時間・歩数の目安 |
1日8,000歩・速歩30分/週23メッツ・時 |
身体活動・運動ガイド2023 |
| 4 |
歩幅・坂道・階段 |
同じ時間で強度を足す |
上方向移動で消費増 |
| 5 |
タイミング |
食後の短い歩行/空腹時は低血糖注意 |
血糖の急上昇をゆるやかに |
| 6 |
食事とセット |
摂取カロリー・PFCを整える |
消費>摂取が減量の原則 |
| 7 |
筋トレを足す |
筋肉を守り代謝を下げない |
筋トレ週2〜3日推奨 |
なぜ痩せない?ウォーキングダイエットでよくある原因
「毎日歩いているのに痩せない」——この悩みには、たいてい原因があります。代表的な4つを整理します。当てはまるものがないか、チェックしてみてください。
原因1:強度・時間が足りていない(だらだら歩き)
スマホを見ながらゆっくり歩く“散歩”になっていませんか。強度が低すぎたり、合計時間が短すぎたりすると、消費カロリーは伸びません。コツ2・コツ3に立ち返り、速歩を取り入れ、合計時間を確保しましょう。
原因2:消費以上に食べている(“歩いたご褒美”の罠)
最も多い原因がこれです。事実2のとおり、ウォーキングの消費は意外と小さいもの。「運動したから」と食事や間食が増えれば、簡単に消費を上回ります。運動と食事は別の問題として、それぞれ整えることが大切です。
原因3:姿勢が崩れて、狙った筋肉に効いていない
フォームが崩れていると、せっかく歩いても大きな筋肉が使われず、効率が下がります。次のような歩き方は見直しましょう。
- 猫背・うつむき:大きな筋肉が働かない
- すり足:蹴り出しが弱く推進力が出ない
- 内股・ガニ股:ひざや股関節に負担がかかりやすい
- つま先重心・浮指(足の指が浮く):バランスが崩れやすい
- 腕を振らない:上半身が連動せず、テンポも上がりにくい
(出典: かたぎり塾「正しい歩き方・避けたい歩き方」をもとに整理)
原因4:そもそも消費カロリーへの期待が過大
「1ヶ月毎日歩いたのに2kgしか減らない」とがっかりする方がいますが、ウォーキング単体の消費量を考えれば、それはむしろ自然な範囲です。期待値を現実に合わせ、食事の見直しと筋肉を守る視点を組み合わせることで、はじめて結果につながりやすくなります。
薬剤師トレーナーの視点では、「痩せない」と感じたときこそ、自分を責めるのではなく“設計”を見直すチャンスです。強度・合計時間・食事・フォーム——この4つのどこにボトルネックがあるかを一つずつ確認すれば、たいていは打開策が見つかります。
効果はいつから?続けるための工夫
変化を実感しやすい時期の目安
「どのくらいで効果が出ますか?」という質問はとても多いのですが、変化の時期や程度には大きな個人差があります。体重・体格・食事・運動量・睡眠など、関わる要素が多いためです。
一般的には、数週間〜数ヶ月の継続で「体が軽い」「服がゆるくなった」といった変化を感じる方が多いとされますが、「1ヶ月で◯kg」と保証することはできません。
大切なのは、体重の数値だけに一喜一憂しないことです。次のような指標もあわせて見ていきましょう。
- ウエストなどのサイズの変化
- 階段や坂道が楽になったという体感
- 睡眠や便通、気分などのコンディション
三日坊主を防ぐ続け方
ウォーキングで一番難しいのは、歩き方より「続けること」です。挫折を防ぐ工夫を紹介します。
- 既存の習慣にくっつける:「通勤で一駅手前から歩く」「買い物は徒歩で」など、生活動作に溶け込ませると忘れにくくなります。
- 記録をつける:歩数アプリや手帳に「歩いた日」を残すと、達成感が積み重なります。
- 完璧を目指さない:歩けない日があっても自分を責めず、「翌日また再開」でOK。
- ハードルを下げる:やる気が出ない日は「10分だけ」「近所を一周だけ」でも前進です。
運動を生活に定着させるコツは、忙しい人でも続く運動習慣の作り方でも詳しく整理しています。
薬剤師トレーナーの視点では、継続できるかどうかは「意志の強さ」ではなく「仕組み」で決まります。歩かざるを得ない動線をつくり、記録で小さな達成を可視化する——この設計があるだけで、続く確率は大きく変わります。
ウォーキング前後・安全面の注意点
ウォーキングは手軽な運動ですが、安全に続けてこそ意味があります。最後に押さえておきたい注意点をまとめます。
前後の軽いストレッチを習慣に
歩く前に、足首・ふくらはぎ・股関節を軽く動かすと、可動域が広がり、ケガの予防につながります。歩いたあとは、使った下半身を中心に軽く伸ばしてクールダウンしましょう。ストレッチの秒数や呼吸、タイミングの考え方はストレッチの正しいやり方ガイドで体系的に解説しています。
なお、ふくらはぎや太ももの張りが気になる方、脚をすっきり見せたい方は下半身を引き締めるためのガイドもあわせてご覧ください。
シューズ・水分・気温への配慮
- シューズ:クッション性のあるウォーキング向きの靴を。サイズの合わない靴は足やひざのトラブルのもとです。
- 水分:短時間でも、汗をかく季節はこまめに水分補給を。
- 暑さ・寒さ:真夏は朝夕の涼しい時間に、冬は防寒と準備運動を。体調が優れない日は無理に歩かない判断も大切です。
持病がある方は医師に相談を
心疾患・関節疾患・糖尿病などの持病がある方は、運動を始める前に主治医へ相談してください。特に、前述のとおり糖尿病で薬物治療中の方は、空腹時運動による低血糖に注意が必要です。運動中に強い痛み・動悸・めまいなどを感じたら、すぐに中止してください。
薬剤師トレーナーの視点では、「がんばること」より「安全に続けられること」を優先してほしいと考えています。痛みや不調を我慢して続けると、かえって運動から遠ざかってしまいます。体のサインに耳を傾けることも、立派なセルフケアです。
よくある質問(FAQ)
Q. 毎日歩かないと効果がないですか?
A. 毎日でなくても構いません。大切なのは1日単位より、1週間の合計時間や活動量です。「こま切れでも合計で確保する」考え方が近年は重視されています。週5日・1日30分の速歩でも、内臓脂肪を減らす運動量の目安(週10メッツ・時)に近づけます。まずは続けやすい頻度から始めましょう。
Q. 1ヶ月でどれくらい痩せますか?
A. 変化には大きな個人差があり、「1ヶ月で◯kg」と保証することはできません。体重・食事・運動量・睡眠など多くの要素が関わるためです。体重だけでなく、サイズや体の軽さといった指標もあわせて、焦らず継続することをおすすめします。
Q. 朝と夜、いつ歩くのが効果的ですか?
A. 「この時間が一番痩せる」と断定はできません。朝は生活リズムを整えやすく、食後は血糖値の急な上昇をゆるやかにすることに関わるとされています。一方で、空腹時の運動は持病のある方には低血糖のリスクがあります。ご自身の生活と体調に合うタイミングを選んでください。
Q. 何分・何歩が目安ですか?
A. 健康づくりの目安として、厚生労働省のガイドでは1日約8,000歩(歩行など60分相当)が示されています。ダイエットを意識するなら、そのうち速歩を合計30分ほど入れられると理想的です。いずれも目安であり、体力に応じて調整してください。
Q. ウォーキングだけで痩せられますか?
A. ウォーキング単体の消費カロリーは大きくないため、食事の見直しと組み合わせることが現実的です。さらに筋トレを少し足して筋肉を守ると、太りにくい体づくりにつながります。「歩く×食べ方×筋肉を守る」の3点セットで考えるのがおすすめです。
Q. 雨の日はどうすればいいですか?
A. 屋内ショッピングモールを歩く、その場で足踏みする、踏み台昇降をする、といった代替で活動量を確保できます。室内での軽い筋トレに切り替えるのも一つの方法です。「歩けない日=ゼロ」にせず、できる範囲で体を動かしましょう。
まとめ|「正しく歩く×食べ方×筋肉を守る」で続けて結果へ
最後に、この記事のポイントを振り返ります。
- ウォーキングは体脂肪を使う有酸素運動だが、単体の消費カロリーは大きくない。だから食事との両輪が鍵。
- 「20分続けないと脂肪が燃えない」は誤解。こま切れでも合計時間を確保すればよい。
- 効果を最大化する7つのコツ:①正しいフォーム ②速歩 ③時間・歩数の目安(1日8,000歩・速歩30分) ④歩幅・坂道・階段 ⑤タイミング ⑥食事とセット ⑦筋トレを少し足す。
- 「痩せない」と感じたら、強度・合計時間・食事・フォームの4点を見直す。
- 効果の時期には個人差がある。体重だけでなくサイズや体感も指標に。
- 持病のある方は医師に相談を。空腹時運動の低血糖には注意。
すべてを完璧にやる必要はありません。まずは今日、「いつもより少し速く、背筋を伸ばして10分歩く」ことから始めてみてください。その一歩が、太りにくい体への確かなスタートになります。なお、体の変化には個人差がありますので、無理のない範囲で続けていきましょう。
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主な参考・出典
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「内臓脂肪減少のための運動」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-05-002.html
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「メッツ/METs」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/keywords/metabolic-equivalents.html
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」推奨シート(成人版) https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-00-002.html
- 厚生労働省「身体活動・運動の推進」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/undou/index.html
- 日本スポーツ栄養協会(SNDJ)「身体活動・運動ガイド2023 推奨事項」 https://sndj-web.jp/news/002615.php
文責
白木 勝也
RBDジム オーナー・トレーナー
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