「食べる量は変わっていないのに、お腹まわりに肉がついてきた」
「20代・30代の頃に効いたダイエットが、まったく効かなくなった」
「疲れやすくなったし、ハードな運動は正直つらい——でも、このままは嫌」
40代後半から50代にかけて、こうした変化を感じる女性はとても多くいらっしゃいます。これは気のせいでも、努力不足でもありません。更年期に入ると、女性ホルモンや代謝、筋肉量といった「太りやすさ」に関わる体の土台が、静かに変化していくからです。
結論からお伝えします。更年期太りと向き合うカギは、この時期特有の体の変化を正しく理解したうえで、①筋肉を守る運動 ②タンパク質と大豆を適量にとる食事 ③ホルモンを乱さない生活リズムという「3つの方法」を、更年期仕様に整えることです。これまでと同じやり方が効かないのは当然とも言えます。やり方を更年期に合わせて切り替えることが、遠回りに見えて一番の近道です。
この記事では、東大薬学部卒・薬剤師国家資格を持つトレーナーの視点から、次のことをお伝えします。
- なぜ更年期に太りやすくなるのか(エストロゲン・基礎代謝・内臓脂肪のしくみ)
- 更年期太りと向き合う3つの方法(運動・食事・生活リズムの具体的な整え方)
- 大豆イソフラボンの安全な摂り方や、婦人科に相談する目安まで誠実に
なお、本記事は治療ではなく、生活習慣(運動・食事)の情報提供です。体の変化や取り組みの結果には個人差があり、「必ず痩せる」「○kg減る」といった保証ではありません。
つらい不調や急な体重の変化がある場合は、自己判断せず婦人科などの医療機関にご相談ください。あくまで続けやすく、リバウンドしにくい考え方の土台として読んでいただければ幸いです。

そもそも更年期太りはなぜ起こる?(ホルモンと体の変化)
「食べていないのに太る」「以前は効いた方法が効かない」——その背景には、更年期ならではの体の変化があります。まずは原因を正しく知ることから始めましょう。原因が分かれば、対策の方向性も自然と見えてきます。
その前に、「更年期」という言葉を整理しておきます。日本産科婦人科学会の解説によると、閉経の前後5年間、合わせて約10年間を「更年期」と呼びます。日本人女性の平均的な閉経年齢はおよそ50歳とされ、多くの方は45〜55歳ごろがこの時期にあたります。更年期の不調は、女性ホルモン(エストロゲン)が「ゆらぎながら低下」していくことに、加齢や心理的・社会的な要因が複合して起こると考えられています(出典: 日本産科婦人科学会「更年期障害」)。
つまり更年期太りは、「年齢のせい」とひとくくりにできるものではなく、いくつかの体の変化が重なって起こるものです。以下で一つずつ見ていきましょう。
エストロゲンの減少と内臓脂肪・脂質の変化
更年期太りを語るうえで、最も重要なのが女性ホルモン「エストロゲン」の減少です。
エストロゲンには、血液中の脂質(LDLコレステロールや中性脂肪)が上がりすぎるのを抑えたり、脂肪が内臓のまわりに蓄積するのを抑えたりする働きがあるとされています。そのため、更年期以降にエストロゲンが減ると、脂質が上がりやすくなり、脂肪がお腹まわり(内臓)につきやすくなると考えられています。実際、閉経前後の年代から脂質異常症の割合が高まることも知られています(出典: 日本産科婦人科学会)。
「若い頃は下半身に脂肪がついたのに、最近はお腹まわりが気になる」と感じる方が多いのは、こうしたホルモン環境の変化が一因と考えられます。ただし作用には個人差や年代による幅があり、すべてがホルモンだけで決まるわけではありません。
薬剤師トレーナーの視点では——エストロゲンは、いわば「女性の体を守ってくれていたホルモン」です。減少すれば、これまで抑えられていた脂質や内臓脂肪の変化が表に出やすくなる。これは自然な営みであって、あなたの努力不足ではありません。だからこそ、ホルモンと「戦う」のではなく、ホルモンの変化を前提に生活を整えるという発想が役立ちます。
加齢による筋肉量の減少と基礎代謝の低下
更年期太りのもう一つの大きな背景が、基礎代謝の低下です。
基礎代謝とは、何もしていなくても、生命を維持するために消費されるエネルギーのこと。一日の総消費エネルギーの大きな割合を占めています。厚生労働省の情報サイトによると、加齢にともなって基礎代謝は低下していき、その主な要因は骨格筋量(筋肉の量)の減少にあると説明されています(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「加齢とエネルギー代謝」)。
筋肉はエネルギーを多く使う組織です。そのため筋肉が減るほど、同じ生活をしていても消費するエネルギーは少なくなっていきます。さらに、運動不足はこの筋量の減少を加速させると考えられています。「食べる量は変わらないのに太る」のは、消費する側=代謝が静かに下がっているからと整理できるのです。基礎代謝を支える習慣については、基礎代謝を上げる10の習慣もあわせてご覧ください。
薬剤師トレーナーの視点では——ここで大切なのは、「代謝が下がったから、もう痩せられない」とあきらめないことです。基礎代謝低下の主な原因が筋肉量の減少にあるのなら、筋肉を守る・維持する行動が、そのまま対策になります。年齢を理由にあきらめるのではなく、打てる手があると知っていただきたいのです。
「お腹まわり(内臓脂肪)」につきやすいのはなぜ?
更年期太りの特徴は、お腹まわりがぽっこりしやすいこと。これは前述のとおり、エストロゲンの減少で内臓脂肪が蓄積しやすくなると考えられているためです。
脂肪には大きく分けて、皮膚のすぐ下につく「皮下脂肪」と、お腹の奥で内臓のまわりにつく「内臓脂肪」があります。内臓脂肪が増えすぎると、脂質や血糖の値など生活習慣病に関わる指標に影響しうるとされ、健康面でも気をつけたいポイントです。
一方で、内臓脂肪には希望もあります。内臓脂肪は皮下脂肪に比べて、食事や運動といった生活習慣の改善でアプローチしやすい面があるとされているのです。つまり、「お腹まわりが気になる」更年期太りは、生活を整えることで向き合いやすいタイプの変化でもあります。「ホルモンのせいだから仕方ない」と悲観する必要はありません。
更年期の不調・睡眠・ストレスも影響しうる
更年期は、ホットフラッシュ(のぼせ・ほてり)や寝つきの悪さ、気分の落ち込みなど、さまざまな不調が起こりやすい時期でもあります。これらも、間接的に体重に影響しうると考えられています。
たとえば、睡眠不足や慢性的なストレスは、食欲や脂肪の蓄積に関わるホルモンに影響しうるとされています。ストレスがかかると分泌が高まるとされる「コルチゾール」というホルモンは、慢性的に高い状態が続くと脂肪の蓄積に関わると考えられています。更年期は睡眠の質も乱れやすく、「眠れない→疲れる→動けない・食べすぎる」という悪循環に陥りやすい時期です(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「女性の睡眠障害」)。
つまり、更年期太りは「食事と運動だけ」では説明しきれません。ホルモン・代謝・筋肉・睡眠・ストレスが複雑に絡み合っている——だからこそ、次に紹介する「3つの方法」も、これらをバランスよく整えることを目指します。
更年期太りを解消するための3つの方法

ここからが、この記事の中心です。更年期太りと向き合うために、①筋肉を守る運動 ②タンパク質と大豆を適量にとる食事 ③ホルモンを乱さない生活リズムという3つの方法を、具体的にお伝えします。
大切なのは、この3つを「更年期仕様」に整えること。若い頃のような激しい運動や極端な食事制限は、更年期世代の体にはむしろ逆効果になりかねません。無理なく、続けられる形で取り入れていきましょう。なお、変化の感じ方には個人差があります。下記は一般的な目安として、ご自身の体調に合わせて調整してください。
方法①|筋肉を守る運動 ―「有酸素+筋トレ」を更年期仕様で
最初の方法は、筋肉を守る運動です。前章でお伝えしたとおり、更年期太りの背景には「筋肉量の減少による基礎代謝の低下」と「内臓脂肪のつきやすさ」があります。この2つに同時にアプローチできるのが、筋トレと有酸素運動の組み合わせです。
筋トレで「代謝の土台」を守る
筋トレは、消費エネルギーそのものを大きく稼ぐというより、代謝の土台となる筋肉を守るために重要です。特に効率的なのが、お尻や太ももといった下半身の大きな筋肉を使う種目。大きな筋肉を動かすほど、効率よく筋肉を刺激できます。
- スクワット: お尻・太ももなど、大きな筋肉をまとめて使える基本種目
- ヒップリフト: 仰向けでお尻を持ち上げる。腰やひざに不安がある方も取り組みやすい
- 椅子を使ったスクワット: 椅子に座る・立つ動作を繰り返す。ひざへの負担を抑えやすい
まずは1種目10回前後を2〜3セット、週2〜3回から。ひざや腰に不安がある方は、無理に深くしゃがまず、できる範囲で構いません。フォームが崩れると効果が出にくかったり、関節を痛めたりすることもあるため、不安な方は専門家にフォームをチェックしてもらうと安心です。
有酸素運動で内臓脂肪にアプローチ
内臓脂肪は、ウォーキングなどの有酸素運動で減りやすいとされています。とはいえ、いきなり激しい運動をする必要はありません。
- 一駅分歩く、エスカレーターより階段を選ぶ
- 通勤や買い物の歩きを「少し早歩き」にする
- 家事のあいまに体を動かす時間を増やす
厚生労働省の身体活動・運動の指針でも、年代を問わず「今より少しでも多く体を動かす(プラス・テン:今より10分多く動く)」考え方がすすめられています(出典: 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」)。運動のための特別な時間を新しく作るより、今ある生活動作の強度を少し上げるほうが、更年期世代には続けやすいでしょう。
薬剤師トレーナーの視点では——「有酸素と筋トレ、どちらをやればいいですか」とよく聞かれますが、更年期太りに対しては両方を組み合わせるのが理にかなっています。筋トレで代謝の土台(筋肉)を守り、有酸素で内臓脂肪にアプローチする。役割が違う両輪です。そして何より、きつすぎない強度で続けること。更年期の体に無理を強いると、疲労やストレスでかえってホルモン環境に負担をかけかねません。「ややきつい」と感じる手前くらいが、ちょうどよい目安です。
方法②|食べて整える食事 ― タンパク質と大豆を「適量」で
2つ目の方法は、食事です。更年期世代の食事では、「減らすこと」よりも「何をしっかり摂るか」が大切になります。とくに意識したいのが、タンパク質と大豆製品です。
タンパク質で筋肉を守る
筋肉の材料となるのがタンパク質です。更年期は筋肉が減りやすい時期だからこそ、タンパク質をしっかり確保することが、代謝を守るうえで欠かせません。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」では、成人女性のタンパク質摂取の目安が示されています(目安は版や年齢で幅があります。詳しくは最新版をご確認ください/出典: 厚生労働省「日本人の食事摂取基準」)。ダイエットを意識すると食事量が減り、知らないうちにタンパク質が不足しがちです。タンパク質が足りないと筋肉が減り、代謝が下がる——という悪循環に陥りかねません。
ポイントは、毎食に分けて摂ること。一度にまとめて摂るより、朝・昼・夜に分散させるほうが効率的とされています。
- 朝: 卵・納豆・ヨーグルトなど、手軽な一品をプラス
- 昼: 外食でも「肉or魚の定食」を選ぶ
- 夜: 鶏むね肉・ささみ・魚(青魚)・豆腐などを中心に
毎食、手のひらに乗るくらいの主菜(肉・魚・卵・大豆製品)を意識すると分かりやすいでしょう。タンパク質の摂り方をさらに詳しく知りたい方は、女性のためのタンパク質ガイドもご参照ください。
大豆イソフラボンの働きと「安全な量」
更年期世代でとくに注目されるのが、大豆製品に含まれる「大豆イソフラボン」です。大豆イソフラボンは、減少していくエストロゲンと似た構造を持ち、体内でエストロゲンに似た働き(エストロゲン様作用)をするとされています。さらに、腸内細菌の働きによって一部の人では「エクオール」という成分に変換されることが知られています(エクオールを作れるかどうかには個人差があります)。
ただし、ここで誠実にお伝えしたいことがあります。大豆イソフラボンは、摂れば摂るほど良いというものではありません。
食品安全委員会は、大豆イソフラボン(アグリコン換算)について、安全な一日摂取目安量の上限を70〜75mg、そして特定保健用食品など通常の食事に上乗せして摂る分の目安を30mgとしています(出典: 食品安全委員会「大豆及び大豆イソフラボンに関するQ&A」)。また、妊婦・胎児・乳幼児・小児については、トクホなどで上乗せして摂ることは推奨されていません。
つまり、基本は豆腐・納豆・豆乳といった大豆製品を、毎日の食事のなかで適量とること。サプリメントやエクオール製品で大量に補おうとするのは、安全面からおすすめできません。
薬剤師トレーナーの視点では——「更年期にはイソフラボンが良いと聞いたので、サプリをたくさん飲んでいます」という方に時々お会いします。気持ちはよく分かります。ですが薬剤師として申し上げると、良いとされる成分ほど「量」が大切です。食品安全委員会が上限の目安を示しているのは、それだけ作用を持つ成分だからこそ。サプリやエクオール製品を使いたい場合は、自己判断で増やさず、医師や薬剤師に相談してください。まずは「大豆製品を食事に取り入れる」ところから始めましょう。
極端なカロリー・糖質制限は避ける
「早く痩せたい」と、極端に食事を減らす方がいますが、更年期世代ではとくに注意が必要です。極端なカロリー制限や糖質制限は、筋肉量の低下を招き、代謝が下がってかえって痩せにくい体になりやすいとされています。さらに、極端な制限は体にとってストレスとなり、ホルモン環境にも負担をかけかねません。PFC(タンパク質・脂質・炭水化物)のバランスを整える考え方は、PFCバランスとは?ダイエットの基本で詳しく解説しています。
方法③|ホルモンを乱さない生活リズム ― 睡眠・ストレス・継続
3つ目の方法は、生活リズムを整えることです。運動と食事をどれだけ頑張っても、睡眠やストレスといった「土台」が崩れていると、結果につながりにくくなります。
睡眠の質を整える
前述のとおり、睡眠不足は食欲や脂肪の蓄積に関わるホルモンに影響しうるとされています。更年期は寝つきが悪くなったり、途中で目が覚めたりと、睡眠の質が乱れやすい時期。だからこそ、意識的に整えたいポイントです。
- 起床時刻をなるべく一定にする
- 寝る前のスマホ・カフェイン・アルコールを控えめにする
- 日中に体を動かし、夜は照明を落としてリラックスする時間をつくる
睡眠を整える具体的な習慣は、睡眠の質を上げる10の習慣で詳しくご紹介しています。
ストレスとうまく付き合う
慢性的なストレスは、コルチゾールを介して脂肪の蓄積に関わると考えられています。更年期は心身ともにゆらぎやすい時期。「完璧にやろう」と気負いすぎず、自分をいたわる時間を意識的につくることも、立派な体づくりの一部です。軽いストレッチや散歩、好きな趣味の時間など、心がほどける習慣を持ちましょう。
「続く仕組み」をつくる
そして何より大切なのが、続けられることです。短期間だけ頑張って元の生活に戻れば、体も元に戻りやすくなります。更年期太りと向き合うのは、一度きりのダイエットではなく、これから先ずっと付き合っていく体づくりです。
薬剤師トレーナーの視点では——更年期は、ホルモンのゆらぎで「頑張れる日」と「頑張れない日」の差が出やすい時期です。だからこそ、頑張りに頼るのではなく、頑張らなくても続く仕組みが大切になります。できない日があってもいい。翌日また戻ればいい。そう思える設計こそが、長く続く秘訣です。私たちが「一生使える食事管理」を大切にしているのも、この考え方からです。
やってはいけない・注意したいこと

更年期太りに焦るあまり、かえって体に負担をかけてしまうケースもあります。ここでは、避けたい行動を整理します。
- 極端な断食・絶食: 一時的に体重は落ちても、筋肉と代謝を犠牲にしがちです。更年期世代では、リバウンドや体調不良につながりやすく、おすすめできません。
- サプリ・健康食品の過剰摂取: 大豆イソフラボンやエクオール製品をはじめ、「良いとされるもの」を自己判断で大量に摂るのは避けましょう。前述の上限の目安を超える摂り方は、安全面で注意が必要です。
- 市販薬・漢方の自己判断での使用: 「更年期太りに効く」とうたう製品もありますが、体質や持病、飲み合わせによっては注意が必要です。使用前に医師・薬剤師に相談しましょう。
- 急激な減量: 短期間で大幅に体重を落とすと、筋肉量が低下して基礎代謝が下がり、かえってリバウンドしやすくなるとされています。緩やかで続けられるペースが、結果的に近道です。
薬剤師トレーナーの視点では——更年期太りは「早く何とかしたい」と焦りやすいものです。ですが、急激な手段ほど体への負担が大きく、長い目で見ると遠回りになりがちです。私たちが掲げる「理論上リバウンドしにくいメソッド」とは、絶対にリバウンドしないと保証するものではなく、筋肉と代謝を守りながら、続けられる習慣を身につけるという考え方を指しています。一時的に落とすことより、無理なく保てることのほうが、ずっと価値があると考えています。
更年期太りはいつまで続く?医療に相談する目安
「この体の変化は、いつまで続くの?」——よくいただく質問です。
更年期はおよそ10年間にわたる時期ですが、その間ずっと太り続けるわけではありません。生活習慣を整えることで、体重や体型と向き合っていくことは、更年期のどの時期でも可能です。一方で、ホルモン環境は閉経後に新しいバランスへと移っていくため、若い頃と同じ体型を目指すより、「今の自分の体に合った整え方」を見つける視点が役立ちます。
そして、ここはとても大切なところです。つらい不調や、急激な体重の変化があるときは、自己判断せず婦人科などの医療機関に相談してください。
更年期の不調に対しては、HRT(ホルモン補充療法)や漢方薬といった選択肢もありますが、これらは医師の診断と処方による「医療」です(出典: 日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会)。効果やリスクは一人ひとり異なり、自己判断で行うものではありません。
私たちパーソナルジムは、医療行為は行いません。ジムができるのは、運動・食事・生活習慣といった生活面で、安全に伴走することです。医療と生活習慣、それぞれに役割があります。「病院に行くべきか、運動を始めるべきか」と迷ったときは、まず医療機関で体の状態を確認したうえで、生活面の取り組みを並行していくのが安心です。
薬剤師トレーナーの視点では——薬の知識を持つ立場だからこそ、はっきりお伝えします。HRTや漢方、サプリの「効果」を、ジムが断定することはできませんし、すべきでもありません。それは医師の領域です。私たちの役割は、医療の手を借りるべきサインを見逃さず、必要なら受診をおすすめしながら、生活習慣の面で誠実に伴走すること。この線引きを守ることが、結果的にあなたの体を守ることにつながると考えています。
よくある質問(FAQ)
Q. 更年期でも痩せられますか?
A. 体の変化や結果には個人差があり、「必ず痩せる」とお約束できるものではありません。ただし、更年期太りの背景にある内臓脂肪は、生活習慣の改善でアプローチしやすい面があるとされています。年齢を理由にあきらめる必要はなく、この記事の3つの方法を続けることで、体と向き合っていくことは十分に可能です。
Q. どんな運動がおすすめですか?
A. 筋トレ(とくにスクワットなど下半身の大きな筋肉を使う種目)と、ウォーキングなどの有酸素運動の組み合わせがおすすめです。きつすぎない強度で、週2〜3回から無理なく始めましょう。ひざや腰に不安がある方は、椅子を使うなど負担の少ない方法から取り組み、不安があれば専門家にフォームを確認してもらうと安心です。
Q. プロテインやエクオールのサプリは飲んだほうがいいですか?
A. まずは食事から、肉・魚・卵・大豆製品でタンパク質を、豆腐や納豆で大豆イソフラボンを適量とることが基本です。サプリやエクオール製品を使いたい場合は、大豆イソフラボンの上限の目安(上乗せ分は1日30mgが目安)もありますので、自己判断で増やさず、医師や薬剤師に相談してください。
Q. 更年期太りはいつまで続きますか?
A. 更年期はおよそ10年間とされますが、その間ずっと太り続けるわけではありません。生活習慣を整えることで、どの時期でも体と向き合っていけます。つらい不調や急な体重変化があるときは、自己判断せず婦人科などにご相談ください。
Q. お腹だけ痩せることはできますか?
A. 残念ながら、特定の部位だけを狙って脂肪を落とす「部分痩せ」は、医学的には難しいと考えられています。ただし、更年期太りで気になりやすい内臓脂肪は、有酸素運動や食事の見直しで全身的にアプローチしやすいタイプの脂肪とされています。お腹まわりの引き締めには、体幹を使う運動も役立ちます。
まとめ|更年期の体に合った「3つの方法」で
最後に、この記事のポイントを振り返ります。
- 更年期太りの背景には、エストロゲンの減少(内臓脂肪・脂質の変化)・筋肉量の減少による基礎代謝の低下・睡眠やストレスがある
- これまでのやり方ではなく、更年期の体に合った3つの方法に切り替えることがカギ
- 方法① 筋肉を守る運動(下半身の筋トレ+ウォーキングなどの有酸素を、きつすぎない強度で)
- 方法② タンパク質と大豆を「適量」で(毎食に分けてタンパク質を、大豆イソフラボンは安全な量を食事から)
- 方法③ ホルモンを乱さない生活リズム(睡眠の質・ストレスケア・続く仕組み)
- 極端な断食・サプリの過剰摂取・急激な減量は避け、つらい不調は婦人科などへ相談を
すべてを完璧にやる必要はありません。まずは「主菜を一品増やす」「一駅分歩く」など、今日できる一つから始めてみてください。更年期は、これまでの体との付き合い方を見直す、新しいスタートのタイミングでもあります。なお、体の変化や結果には個人差がありますので、無理のない範囲で取り組んでくださいね。50代の体づくり全体については50代女性のダイエット成功法、プレ更年期を意識し始めた方は40代女性のダイエット成功法もあわせてご覧ください。
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主な参考・出典
文責
白木 勝也
RBDジム オーナー・トレーナー
東大薬学部卒・薬剤師国家資格保有。熊本市南区を拠点に、理論に基づいた「リバウンドしにくい設計を目指したメソッド」で多くの女性のボディメイクをサポート。