トレーニング後の食事完全ガイド|筋肉を作るゴールデンタイム
「筋トレ後30分以内に食べないと効果が半減すると聞いて、いつも焦ってしまう」「運動後は結局、何を食べればいいの?」「ダイエット中だけど、運動後に食べたら太らない?」——そんな疑問でこの記事にたどり着いた方は多いはずです。
結論から先にお伝えします。「運動後30分の窓を逃したら筋肉がつかない」は言い過ぎです。近年の研究では、筋肉づくりの主役は特定の30分ではなく、1日の総たんぱく質量とされています。とはいえ、運動後にたんぱく質+糖質を補給しておくことは、回復の観点から依然として合理的です。「厳密なタイミング」より「1日の総設計」——ここが、この記事でいちばんお伝えしたいポイントです。
この記事では、東大薬学部卒・薬剤師トレーナーの視点から、まず「ゴールデンタイム=運動後30分」神話の正確なアップデートを出典つきで整理します。そのうえで、運動後に「いつ・何を・どれだけ」食べるか、減量目的と増量目的の食べ分け、コンビニ・外食での具体的な選び方、やりがちなNG、FAQまで、公的資料と学術研究をもとに誠実に解説します。
はじめに大切な前提を。本記事は一般的な健康・運動情報の提供を目的としたもので、特定の効果を保証するものではありません。数値や必要量には個人差があり、体格・目的・運動量によって適量は変わります。持病がある方や食事制限を受けている方は、主治医・専門家にご相談ください。

目次
結論から|「ゴールデンタイム=運動後30分」は本当?神話のアップデート
多くの方が最初に知りたいのは、「30分ルールは本当なのか?」という点でしょう。ここを最初に、正直に整理します。
そもそも「ゴールデンタイム(同化の窓)」とは
トレーニングの世界では、運動後に筋肉づくりが進みやすいとされる時間帯を「ゴールデンタイム」や「アナボリックウィンドウ(同化の窓)」と呼んできました。「同化(アナボリック)」とは、体が材料を取り込んで筋肉などをつくる方向の働きのことです。
一般には「運動後30分以内がゴールデンタイム」と語られることが多く、「この30分を逃すと効果が落ちる」というイメージが広まっています。だからこそ、多くの方がトレーニング直後に慌ててプロテインを飲むわけです。
【最新の考え方】窓は思われているより広い——主役は「1日の総たんぱく質量」
ところが、この「30分神話」は近年の研究で見直されています。
たんぱく質を摂るタイミングと筋肥大・筋力の関係をまとめたメタ解析(複数の研究を統合した分析)では、「運動直後の摂取が特別に有利」というより、1日の総たんぱく質摂取量こそが筋肥大・筋力を左右する大きな要因と報告されています(出典: Schoenfeld BJ, Aragon AA, Krieger JW. J Int Soc Sports Nutr. 2013)。
さらに、同じ研究者らによる解説レビューでは、「同化の窓」は従来考えられていた30分よりずっと広く、運動の前後を含めて数時間規模(おおむね数時間の幅)でとらえるのが妥当だと整理されています(出典: Aragon AA, Schoenfeld BJ. J Int Soc Sports Nutr. 2013)。つまり「30分ぴったりで扉が閉まる」というより、「前後にゆるやかに開いた窓」というイメージです。
- タイミングは “唯一の正解の30分” ではないとされる
- 筋肉づくりの土台は、1日を通じたたんぱく質の総量とされる
- 窓は狭い点ではなく、運動前後を含む数時間規模の “帯” と整理されている
では運動後の補給は無意味?——いいえ、依然として合理的
ここで注意したいのは、「だから、いつ食べてもまったく同じ」と極端に振ってしまわないことです。
同じレビューでも、運動前の食事から時間が空いている場合や、空腹の状態で運動した場合には、運動後の補給の意義がより大きくなりうると整理されています。体に材料が乏しい状態が長く続くのは、回復にとって望ましくないからです。
まとめると、正確な着地点はこうです。
「30分を逃しても、それだけで努力が無駄になるわけではない。ただし、1日の総量を土台に、運動の前後で栄養を切らさないよう補給しておくのは合理的」
これが、煽らず・断定しない、いまの誠実な結論です。
薬剤師トレーナーの視点では——「30分」という数字に振り回されるより、1日で帳尻を合わせる設計のほうがずっと大切です。ストップウォッチで30分と競争して、そのストレスで食事全体が乱れてしまっては本末転倒。私たちが現場で重視しているのは、「毎食コンスタントにたんぱく質を確保し、運動の前後で切らさない」という、続けられる仕組みづくりです。厳密なタイミングに神経質になるより、続く総設計——ここに体づくりの再現性があります。
運動後に「何を」食べる?——たんぱく質と糖質の2本柱

「いつ」の不安がほどけたら、次は「何を」です。運動後の栄養は、大きくたんぱく質と糖質(炭水化物)の2本柱で考えると整理しやすくなります。
たんぱく質——筋肉の修復・合成の材料
たんぱく質は、運動で刺激を受けた筋肉を修復・合成する材料になります。運動(筋トレなどのレジスタンス運動)による刺激と、たんぱく質の摂取が合わさることで、筋タンパク質の合成が高まるとされます(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「たんぱく質」/Thomas DT et al. Med Sci Sports Exerc. 2016)。
しかも、運動後に合成が高まった状態は24時間程度(条件によってはより長く)続くと学術レビューでは整理されています(出典: Thomas DT et al. 2016 ほか)。だからこそ、「運動直後の一撃」よりも「1日を通じてたんぱく質を確保する」ことが効いてくるのです。
食品からは、次のような身近なものでしっかり摂れます。
- 肉類(鶏むね・ささみ・赤身肉 など)
- 魚介(鮭・まぐろ・さば など)
- 卵
- 大豆製品(納豆・豆腐・豆乳)
- 乳製品(ギリシャヨーグルト・牛乳・チーズ)
プロテイン(たんぱく質のサプリメント)は、食事だけで不足するときに補う手段として便利です。ただし主役はあくまで日々の食事。プロテインの種類や選び方、女性向けの飲み方はプロテインの選び方ガイドで詳しく整理しているので、あわせてご覧ください。本記事では「運動後のタイミングと量」に絞って深掘りします。
糖質(炭水化物)——グリコーゲン回復のカギ
ダイエット中の方ほど、「運動後に糖質?太らない?」と身構えがちです。ここは誤解を解いておきたいところです。
運動をすると、筋肉に蓄えられたエネルギー源である筋グリコーゲンが消費されます。この筋グリコーゲンを補うには、糖質(炭水化物)の補給が重要とされます。糖質が不足したままだと回復が遅れ、次の運動でエネルギー切れを起こしやすくなると考えられています(出典: 大塚製薬 酸素研究所「アスリートのリカバリーに重要な栄養素」)。
つまり、糖質は “運動でカラになったエネルギータンクを戻す” 役割を担います。「糖質=太る」ではなく、「運動後の糖質は回復の味方」と考え方を切り替えましょう。もちろん、摂りすぎれば総カロリー超過になるため、量の管理は必要です(量については後述します)。
- おにぎり・ごはん
- バナナ・果物
- 和菓子(あんこ系は脂質が少なめ)
- いも類 など
糖質を極端にカットしている方は、運動後まで糖質ゼロにするのは回復の面で不利になりうる点も知っておいてください。糖質制限との付き合い方は糖質制限ダイエットの正しいルールで整理しています。
なぜ「たんぱく質+糖質」を一緒に摂ると良いのか(機序)
たんぱく質と糖質を「一緒に」摂ることには、理にかなった理由があります。
糖質を摂ると、血糖の上昇に応じてインスリンというホルモンが分泌されます。インスリンには、糖やアミノ酸を筋肉に取り込む働きに関わる性質があります。そのため、運動後に摂れる糖質量が少ない条件などでは、糖質単独よりも “糖質+たんぱく質” のほうが筋グリコーゲンの回復が促進されうると報告されています(出典: 大塚製薬 酸素研究所/スポーツ栄養Web〈SNDJ〉※一部は動物試験を含む知見)。
かみ砕くと、こういうイメージです。
- 糖質 → インスリンが出る
- インスリン → 糖とアミノ酸を筋肉へ運ぶ手助け
- 結果 → グリコーゲン回復と、筋肉への材料補給が両方進みやすい
だから、運動後は「プロテインだけ」で終わらせず、たんぱく質+糖質のセットが合理的、というわけです。
ビタミン・ミネラルも土台
たんぱく質・糖質を体の中で効率よく使うには、ビタミン・ミネラルも欠かせません。エネルギー代謝を支えるビタミンB群、抗酸化に関わるビタミンC・Eなどは、野菜・果物・きのこ・海藻から自然に補えます。回復を支える食材選びの深掘りは代謝を上げる食材に譲り、ここでは「主役の2本柱+土台のビタミン・ミネラル」という全体像だけ押さえておいてください。
薬剤師トレーナーの視点では——運動後を「プロテインだけ」で済ませてしまう方はとても多いです。もったいないのは、糖質を敵視するあまり、回復のチャンスを自分で狭めてしまうこと。インスリンは “太らせる悪者” ではなく、栄養を筋肉へ届ける運び屋でもあります。運動という良い刺激を入れた直後は、体が材料を受け取りやすいタイミング。たんぱく質と糖質を上手に組み合わせて、せっかくの運動を回復につなげてあげましょう。
運動後「いつ」食べる?——タイミングの現実解
冒頭の結論をふまえて、「実際にはいつ食べればいいのか」を現実的に落とし込みます。
神経質にならなくていい理由+それでも “早めが安心” なケース
繰り返しになりますが、筋肉づくりの土台は1日の総たんぱく質量とされます。したがって、「秒単位・分単位で30分を死守する」必要はありません。窓は運動前後を含む数時間規模の帯でとらえてよい、というのが近年の整理です。
ただし、次のようなケースでは早めの補給が安心です。
- 空腹の状態で運動した(前の食事から時間が空いていた)
- 朝いちばんや、食事前のトレーニングだった
- 翌日にも運動を控えていて、回復を急ぎたい
こうした「材料が乏しい状態が続きやすい」場面では、運動後になるべく早くたんぱく質+糖質を入れておくと、体に材料を切らさずに済みます。
プロテインは運動後すぐ飲むべき?
「運動後 プロテイン いつ」は、とても多い疑問です。誠実にお答えすると——
- 運動後まもなく食事をとる予定があるなら、プロテインを急いで飲む必要は必ずしもありません。食事でたんぱく質・糖質を確保できるからです。
- 食事まで時間が空く(移動が長い、帰宅が遅くなる等)なら、プロテインで先に材料を入れておくのは合理的です。
つまりプロテインは「運動後に絶対すぐ飲む儀式」ではなく、食事までの “つなぎ” として使える便利な手段、という位置づけです。
固形の食事とプロテインの使い分け
判断はシンプルです。
| 状況 | おすすめ |
| 運動後まもなく食事がとれる | 食事でたんぱく質+糖質を確保 |
| 食事まで時間が空く | プロテインでつなぎ、後で食事 |
| 食欲がない・胃が重い | 消化しやすいプロテイン+果物などで軽く |
薬剤師トレーナーの視点では——プロテインは「魔法の粉」ではなく、あくまでたんぱく質を手軽に補う食品です。食事がすぐとれるなら、無理にプロテインを重ねる必要はありません。逆に、帰宅が遅く食事が2〜3時間先になるようなら、プロテイン1杯で材料を切らさない——この使い分けができると、サプリ代も体も両方ムダがなくなります。「絶対すぐ飲まなきゃ」という思い込みから、まず自由になってください。
運動後に「どれだけ」食べる?——量の目安

「何を・いつ」の次は「どれだけ」。ここは数値が出てきますが、いずれも目安であり、体格・目的・運動量で変わる点を前提にお読みください。
たんぱく質の目安
まず、たんぱく質の1日の必要量については、公的な基準があります。日本人の一般的な必要量・目標量は「日本人の食事摂取基準(2025年版)」に示されています(出典: 厚生労働省)。運動習慣のある方は、一般的な目安より多めが必要になる場合があるとされます。
運動する人向けの「1回あたり」「体重あたり」の数値は、公的資料ではなく学術レビューの範囲で語られるもので、断定できるものではありません。参考として紹介すると——
- 1回の食事あたり、たんぱく質 約20〜40g を目安とする考え方が学術レビューで示されています(〜とされる)。
- 体重1kgあたり1.6g前後/日 を運動者の目安とする整理もあります(〜とされる)(出典: Thomas DT et al. 2016 ほか)。
いずれも幅のある目安です。自分の体重・目的に当てはめて微調整する前提でとらえてください。
糖質の目安
糖質の必要量は、運動の強度・時間で大きく変わります。長時間・高強度でグリコーゲンを多く消費した日ほど、糖質補給の意義は大きくなります。
一方、軽めの運動やダイエット目的の場合は、糖質を “山盛り” にする必要はありません。運動後だからといって別枠で好きなだけ食べてよいわけではなく、1日の総カロリーの枠の中で配分するのが基本です。
「1日の総枠」で考える
大切なのは、運動後の一食を1日全体の設計の中に置くことです。運動後は “別腹” ではありません。
- 1日の総カロリーと総たんぱく質を土台に決める
- 運動後の一食は、その枠の中で配分する
- タイミングより、1日で必要量を満たせているかを優先する
PFC(たんぱく質・脂質・炭水化物)のバランスや、1日の量の考え方の基礎はPFCバランスとは?ダイエットの基本で体系的に解説しています。「自分は1日どれくらい必要か」を組み立てたい方は、そちらを土台にしてください。
薬剤師トレーナーの視点では——「体重×1.6g」「1回20〜40g」といった数字は、あくまで研究から導かれた目安の幅です。同じ体重でも、目的(減量か増量か)、筋肉量、活動量によって適量は変わります。数字を守ること自体が目的化すると、かえって続きません。私たちがカウンセリングで最初にやるのは、その人の体格と目的から “現実的に続けられる量” を一緒に決めること。目安は出発点、正解はひとりひとりの生活の中にあります。
【目的別】運動後の食事の食べ分け
多くの記事は「筋肥大したい人」を前提に書かれています。しかし実際には、減量目的の人も増量目的の人もいます。ここは競合が手薄なぶん、丁寧に整理します。
ダイエット(減量)目的——総カロリー内でたんぱく質を確保
「筋トレ後 食事 太らない」を気にする方へ。減量中の運動後の食事は、次の考え方が軸になります。
- 総摂取カロリーは消費より抑える(これが減量の大前提)
- たんぱく質はしっかり確保する——筋肉(除脂肪量)を守るため
- 糖質はゼロにしない——回復のために適量は摂る
- 脂質は摂りすぎない——カロリーが高く、量の調整弁になる
減量中こそ、運動後にたんぱく質を確保することが大切です。カロリーを絞ると体は筋肉も削りやすくなりますが、たんぱく質を切らさず運動刺激を入れることで、筋肉を守りながら体脂肪を落とす方向に近づけられると考えられています。太らせないコツは、「別腹にしない・脂質を盛らない・総枠で管理する」——この3点です。
増量(バルク)目的——たんぱく質+糖質をしっかり
体を大きくしたい増量目的の場合は、方向性が変わります。
- 総摂取カロリーはやや多め(消費をわずかに上回らせる)
- たんぱく質を十分に確保する
- 糖質もしっかり摂って、グリコーゲンとエネルギーを満たす
増量期は、運動後に “たんぱく質+糖質” をしっかり入れることが理にかなっています。ただし、増量でも脂質だらけ・お菓子だらけの過剰摂取は、脂肪ばかり増える原因になりがちです。「食べればいい」ではなく「質のよいカロリーで、やや多めに」が基本です。
ダイエット中に「運動後に食べない」はアリ?
減量目的の方ほど、「運動後に何も食べないほうが痩せるのでは?」と考えがちです。しかし、極端な欠食は回復(グリコーゲン・筋修復)を妨げ、筋肉量の維持にとって不利になりうるとされます。
筋肉が減ると、体の消費エネルギー(基礎代謝)も下がりやすくなります。目先の一食を抜いた分より、筋肉を減らして代謝が落ちるほうが、長い目では減量に不利になりかねません。「食べない」と代謝の関係は食べないと代謝が下がる仕組みと基礎代謝を上げる習慣で整理しています。ダイエット中でも、運動後にたんぱく質+適量の糖質を確保するほうが、結果的に近道になりやすいのです。
薬剤師トレーナーの視点では——「運動したのに、そのあと食べたら台無し」という思い込みは、減量で最ももったいない誤解のひとつです。運動後の適切な補給は、筋肉という “代謝のエンジン” を守るための投資。エンジンを削ってしまうと、あとで痩せにくい体になりやすい。私たちが「リバウンドしにくい設計を目指したメソッド」で重視しているのも、まさにここです。極端に減らすのではなく、筋肉を守りながら整える——これが長く成果を保つコツです。
運動後の食事メニュー例・コンビニ・外食の選び方
理屈が分かっても、忙しい日は「で、結局何を買えばいい?」となりますよね。ここは実用重視でいきましょう。
※以下は「必ず筋肉がつくメニュー」ではなく、たんぱく質と糖質を確保しやすい一例です。量は1日の総枠に合わせて調整してください。
すぐ摂れる組み合わせ例
たんぱく質と糖質が両方そろう組み合わせを、いくつか挙げます。
- おにぎり+サラダチキン(糖質+たんぱく質の王道)
- バナナ+プロテイン(消化がよく、手軽)
- ゆで卵+和菓子(あんこ系)(脂質控えめ)
- 鮭おにぎり+ギリシャヨーグルト(魚のたんぱく質+乳たんぱく質)
- 牛乳+バナナ+ナッツ少々(飲みやすい)
コンビニで選ぶなら
「トレーニング後 食事 コンビニ」派に向けて、選びやすいアイテムを整理します。
| 目的 | コンビニで選べるもの |
| たんぱく質 | サラダチキン/ゆで卵/ギリシャヨーグルト/プロテイン飲料/魚(さば・鮭)/豆腐バー |
| 糖質 | おにぎり/バナナ/和風パスタ/和菓子/どら焼き |
| 土台(ビタミン等) | カット野菜/サラダ/野菜スープ/果物 |
選び方のコツは、「たんぱく質1品+糖質1品」を必ずセットにすること。サラダチキンだけ、おにぎりだけ、で終わらせないのがポイントです。脂質の多い揚げ物・菓子パンは、カロリーがかさむわりに回復の主役にはなりにくいので、運動後の一食では控えめに。
夜遅い時間のトレーニング後はどうする
仕事帰りに運動して、食事が夜遅くなる——という方も多いはずです。そんなときは、次の工夫が役立ちます。
- 脂質は控えめに(揚げ物・こってり系は消化に時間がかかる)
- 消化のよいたんぱく質(魚・卵・ヨーグルト・プロテイン)を選ぶ
- 糖質は控えめでも “ゼロ” にはしない(回復のため少量は確保)
- 食べきれない分は翌朝に配分する意識で
「遅い時間に食べると太る」と気になる方も、総カロリーの枠に収まっていれば過度に恐れる必要はありません。むしろ、回復の材料を切らさないことのメリットは残ります。ボリュームを軽く、質を選ぶ——これが夜遅トレの現実解です。
運動後の食事でやりがちなNG・注意点

最後に、つまずきやすいポイントを整理します。当てはまっていないかチェックしてみてください。
「30分ルール」に縛られて逆にストレス/総量を軽視
冒頭で見たとおり、30分を死守すること自体が目的ではありません。タイマーに追われて食事全体が乱れる、あるいは「30分に間に合ったから」と1日の総量を軽視する——どちらも本末転倒です。主役は総量、と思い出してください。
プロテインだけ・糖質完全カットで回復が進まない
運動後を「プロテイン1杯だけ」で終え、糖質をまったく摂らないのは、グリコーゲン回復の面ではもったいない選び方です。たんぱく質+糖質のセットが回復には合理的、が基本方針でした。
運動後に脂質の多い食事・飲酒
- 脂質の多い食事は消化に時間がかかり、カロリーもかさみます。運動後の一食では控えめが無難です。
- 飲酒(アルコール)は、回復に影響しうるとされます。「運動後のご褒美ビール」を否定はしませんが、回復を優先したい日は控えめに、という一般的な注意は知っておいてください。
運動後に何も食べない(欠食の弊害)
前述のとおり、極端な欠食は回復と筋肉維持の面で不利になりうるとされます。ダイエット中でも、運動後は適量を “抜かずに整える” ほうが現実的です。
なお、運動後の筋肉痛のケア全般(冷温・マッサージ・睡眠など)は、栄養とは別テーマとして筋肉痛を早く治す方法で詳しく整理しています。「回復」をトータルで整えたい方は、あわせてどうぞ。
薬剤師トレーナーの視点では——運動後の食事でつまずく多くは、「極端」から生まれます。30分に縛られすぎる、糖質を完全に切る、あるいは何も食べない——どれも “振り切りすぎ” です。体は、極端よりもほどよく整った状態を好みます。たんぱく質+糖質を、1日の枠の中で、無理なく。この “中庸” こそが、続けられて成果も出やすい道だと、現場で日々実感しています。
よくある質問(FAQ)
Q. 筋トレ後30分以内に食べないと、効果はなくなりますか?
A. いいえ、「30分を逃したら効果がなくなる」という意味ではないとされます。近年の研究では、筋肉づくりの主役は特定の30分ではなく1日の総たんぱく質量と報告されています(Schoenfeld & Aragon 2013 ほか)。窓は運動前後を含む数時間規模の帯でとらえてよいとされ、過度に神経質になる必要はありません。ただし、空腹で運動した場合などは早めの補給が安心です。
Q. プロテインは運動後すぐ飲むべきですか?
A. 運動後まもなく食事がとれるなら、必ずしもすぐ飲む必要はありません。食事でたんぱく質・糖質を確保できるからです。食事まで時間が空くときに、つなぎとして飲むのが合理的です。プロテインの種類や選び方はプロテインの選び方ガイドをご覧ください。
Q. ダイエット中でも、運動後に食べていいですか?
A. はい、むしろ回復のために適量の補給が役立つとされます。ポイントは1日の総カロリーの枠の中で、たんぱく質を確保し、糖質は適量、脂質は控えめにすること。運動後に何も食べないと、筋肉量の維持に不利になりうるとされます。
Q. 運動後に糖質を摂ると太りませんか?
A. 糖質は、運動で消費した筋グリコーゲンの回復に重要とされます。「糖質=太る」ではなく、総量が適切かどうかが問題です。1日のカロリー枠の中で摂る適量の糖質は、回復の味方になります。
Q. 何を食べればいい? コンビニでは?
A. 「たんぱく質1品+糖質1品」をセットにするのが基本です。例:おにぎり+サラダチキン、バナナ+プロテイン、ゆで卵+和菓子など。コンビニならサラダチキン・ゆで卵・ヨーグルト・プロテイン飲料+おにぎり・バナナが選びやすい組み合わせです。
Q. 運動前と運動後、どちらが大事ですか?
A. どちらか一方というより、1日の総量を満たせているかが土台とされます。運動前の食事から時間が空いていれば運動後の補給の意義が大きくなり、逆に直前に食べていれば運動後を急ぐ必要は下がります。前後で栄養を切らさない設計が現実的です。
まとめ|「30分」より「1日の総設計」。運動後はたんぱく質+糖質を賢く
最後に、この記事のポイントを振り返ります。
- 「運動後30分を逃したら効果ゼロ」は言い過ぎ。主役は1日の総たんぱく質量とされ、同化の窓は運動前後を含む数時間規模の帯でとらえてよいとされる。
- ただし、運動後にたんぱく質+糖質を補給するのは回復の観点で合理的。特に空腹で運動した日は早めが安心。
- 何を → たんぱく質(肉・魚・卵・大豆・乳製品/プロテインは補助)+糖質(ごはん・バナナ等)。一緒に摂るとグリコーゲン回復が進みやすいとされる。
- どれだけ → 1回20〜40g、体重×1.6g前後などは学術上の目安。1日の総枠で配分する。
- 目的別 → 減量は総カロリーを抑えつつたんぱく質確保・糖質はゼロにしない/増量はたんぱく質+糖質をしっかり。
- NG → 30分に縛られすぎ・プロテインだけ・糖質完全カット・脂質過多・欠食。
今日の一歩は、シンプルです。運動後に「たんぱく質1品+糖質1品」を確保するところから始めてみてください。おにぎりとサラダチキン、バナナとプロテイン——それだけで十分な第一歩になります。
タイミングに神経質になるより、続けられる1日の総設計をつくること。それが、遠回りに見えて、いちばんの近道です。
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主な参考・出典
- Schoenfeld BJ, Aragon AA, Krieger JW. “The effect of protein timing on muscle strength and hypertrophy: a meta-analysis.” J Int Soc Sports Nutr. 2013;10:53. https://jissn.biomedcentral.com/articles/10.1186/1550-2783-10-53 /全文 https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3879660/
- Aragon AA, Schoenfeld BJ. “Nutrient timing revisited: is there a post-exercise anabolic window?” J Int Soc Sports Nutr. 2013;10:5. https://jissn.biomedcentral.com/articles/10.1186/1550-2783-10-5
- Thomas DT, Erdman KA, Burke LM. “Nutrition and Athletic Performance.”(ACSM/AND/DC 合同声明)Med Sci Sports Exerc. 2016;48(3):543-568. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26891166/
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「たんぱく質」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-044.html
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「エネルギー産生栄養素」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-013.html
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html
- 大塚製薬 酸素研究所「アスリートのリカバリーに重要な栄養素」(管理栄養士監修) https://www.otsuka.co.jp/oxygen-lab/nutrition/recovery.html
- スポーツ栄養Web(SNDJ)「運動直後の糖質一括摂取は筋グリコーゲン…」 https://sndj-web.jp/news/001602.php (動物試験を含む知見)
文責
白木 勝也
RBDジム オーナー・トレーナー
東大薬学部卒・薬剤師国家資格保有。熊本市南区を拠点に、理論に基づいた「リバウンドしにくい設計を目指したメソッド」で多くの女性のボディメイクをサポート。