「手足の先が冷えて、なかなか寝つけない」「真夏でもオフィスの冷房で体が冷えてつらい」——。こうした冷えの悩みは、とくに女性に多く、季節を問わず続きやすいものです。
結論からお伝えします。冷えにくい体づくりのカギは、「熱を作る(筋肉)× 熱を巡らせる(血行)× 巡りを乱さない(自律神経)」という3つの軸にあります。一時的に温めるだけでなく、この3軸をそろえて整えることが、根本からの冷え対策につながっていきます。
この記事では、東大薬学部卒・薬剤師トレーナーの視点から、なぜ手足が冷えるのかという体のしくみに踏み込みながら、自宅でできる温活トレーニング、体を内側から温める食事、手足のツボ、温活レシピまでを一つにまとめて解説します。さらに、「その冷え、病気のサインかもしれない」受診の目安も、誠実に整理しました。
はじめに大切な前提をお伝えします。本記事は一般的な健康情報の提供を目的としたもので、冷え性の診断・治療を目的とするものではありません。運動・食事・ツボなどのセルフケアには効果の感じ方に個人差があり、「これで冷え性が必ず治る」というものではありません。冷えに加えて強い倦怠感・体重変化・手足の色の変化・しびれなどがある場合は、後述する受診の目安を確認し、医療機関へのご相談を優先してください。

冷え性とは?まず「末端冷え性」のしくみを知る
対策を始める前に、「そもそもなぜ冷えるのか」を知っておくと、運動や食事の意味が腑に落ちます。ここを理解しているかどうかで、続けやすさが変わります。
冷え性のタイプ(末端型・内臓型・全身型)
ひとくちに「冷え」といっても、感じ方にはいくつかのタイプがあります。
| タイプ |
特徴 |
多い傾向 |
| 末端型 |
手足の指先が冷える。体の中心はそれほど冷えていないことも |
若い女性・やせ型・運動不足の方に多い |
| 内臓型 |
手足は温かいのに、お腹や体の内側が冷える |
自覚しにくく、隠れ冷えと呼ばれることも |
| 全身型 |
体全体が冷え、基礎代謝の低下を感じやすい |
高齢の方・筋肉量が少ない方に多い |
この記事の主役は、もっとも相談の多い末端型(末端冷え性)です。手足の先が冷たく、寝つきにくい・むくみやすいといった悩みにつながりやすいタイプです。
なぜ手足の先が冷えるのか
寒さや冷えを感じると、体は生命維持に重要な内臓を守るため、体の中心に血液を集めようとします。その結果、優先順位が後回しになる手足の末端には、温かい血液が届きにくくなります。これが「手足だけが冷たい」末端冷え性の基本的なしくみです。
手足の血流は自律神経によって細かく調整されています。ストレスや緊張で交感神経が優位になると、末梢の血管が収縮し、手足への血のめぐりがさらに悪くなりやすいとされています(出典: オムロン ヘルスケア)。冷え症の方は交感神経が緊張しやすく、皮膚の血流や皮膚温が低下しやすい傾向も指摘されています。
女性・運動不足の人に冷えが多い理由
末端冷え性が女性や運動不足の方に多いのには、生理学的な理由があります。
体内で作られる熱の多く(資料によりおよそ6割)は、筋肉で生み出されているとされています(出典: 養命酒製造)。つまり、筋肉量が少ないほど自前で作れる熱が少なく、冷えやすくなるということです。一般に女性は男性より筋肉量が少なく、過去に食事制限中心のダイエットを繰り返してきた方は、さらに筋肉が落ちている場合があります。
実際、冷え症の人は冷え症でない人に比べて、基礎代謝量や筋肉量が低い傾向があったとする生理学的な検討も報告されています(出典: CiNii掲載論文「熱産生の観点からみた冷え症の生理学的メカニズム」)。基礎代謝とは、安静にしていても生命維持のために消費されるエネルギーのことで、その熱が体温の土台になります(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット)。
薬剤師トレーナーの視点では、冷え対策は次の3つの軸で整理すると分かりやすいです。①熱を作る(=筋肉で熱産生)、②熱を巡らせる(=血行・末梢循環)、③巡りを乱さない(=自律神経を整える)。 カイロや厚着は②の一時的なサポートですが、根本から冷えにくい体を目指すなら、①の「熱を作る力」、つまり筋肉量に目を向けることが欠かせません。ここがRBDで私たちが最も大切にしている考え方です。
冷え性を改善する運動|自宅でできる温活トレーニング

3軸のうち、運動は①熱を作ると②熱を巡らせるの両方に効く、いわば一石二鳥のアプローチです。ここからは自宅でできる温活トレーニングを具体的にご紹介します。
なぜ運動で冷えが変わるのか
ポイントは2つあります。
ひとつは、大きな筋肉を動かすと熱産生が高まること。前述のとおり熱の多くは筋肉で作られるため、下半身など大きな筋肉(大筋群)を使う運動は、効率よく体を温めるのに向いています。下半身には体の筋肉の多くが集まっているため、スクワットのような種目は熱産生と血流促進の両面で効率的とされています(出典: 養命酒製造)。
もうひとつは、ふくらはぎの「ポンプ作用」です。ふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれ、収縮することで下半身に降りた血液を心臓へ押し戻す役割を担っています。この働きが弱まると、むくみや冷え、疲労感につながりやすいとされています(出典: MELOS)。手足の末端まで血を巡らせるには、ふくらはぎを動かすことが大きな助けになります。
薬剤師トレーナーの視点では、運動には「即効」と「根本」の2つの効きめがあります。体を動かしてその場でポカポカするのは血行が促される即効の効果。一方、続けて筋肉量が育つことで生まれるのは冷えにくい体という根本の効果です。どちらか一方ではなく、両輪で取り組むのが理想です。
下半身を動かす温活筋トレ
ここからは、自宅で道具なしでできる下半身中心の筋トレをご紹介します。各メニューに「秒数・回数」「狙う部位」「効くポイント」「NG例」をまとめました。すべてやる必要はありません。まずは1〜2種類から始めてみてください。
共通ルール: どのメニューも呼吸を止めず、無理のない範囲で。痛みや強いだるさが出たら中止しましょう。膝や腰に不安のある方は、回数を減らす・支えを使うなど調整してください。効果の感じ方には個人差があります。
① スクワット(下半身の大筋群)
- 秒数/回数: 10回 × 1〜3セット
- 狙う部位: 太もも前後・お尻(体の中でも大きな筋肉)
- 効くポイント: 足を肩幅に開き、椅子に腰かけるようにお尻を後ろへ。膝がつま先より大きく前に出ないように、ゆっくり下げて戻す。大筋群を使うので体が温まりやすい。
- NG例: 膝を内側に入れる / 反動で勢いよく上下する / 息を止める
② かかと上げ(ふくらはぎ・第二の心臓)
- 秒数/回数: 20回 × 1〜3セット
- 狙う部位: ふくらはぎ
- 効くポイント: 立った姿勢でかかとをゆっくり上げ下げ。つま先立ちで止めて、じわっと下ろす。ポンプ作用で下半身の巡りをサポート。歯みがき中など「ながら」でもOK。
- NG例: 反動で弾ませる / 体がぐらつくほど速く動かす(不安なら壁に手を添える)
③ もも上げ・足踏み(全身の血流アップ)
- 秒数/回数: 30秒〜1分
- 狙う部位: 太もも前・お腹まわり・ふくらはぎ
- 効くポイント: その場で太ももを高く上げて足踏み。腕も振るとさらに全身が温まる。テレビを見ながらでも続けやすい。
- NG例: 背中を丸めてダラダラ行う / 着地を強く踏みつける
④ 椅子スクワット(初心者・膝が不安な方向け)
- 秒数/回数: 10回 × 1〜2セット
- 狙う部位: 太もも・お尻
- 効くポイント: 椅子の前に立ち、座る寸前で止めてまた立つ。本格的なスクワットがきつい方や50代以降の方は、まずここから。安全に大筋群を使えます。
- NG例: ドスンと座り込む / 膝だけで立ち上がろうとする
巡りを促す有酸素運動・ストレッチ
筋トレで「熱を作る力」を育てつつ、有酸素運動やストレッチで「巡らせる」と相性が良くなります。
- ウォーキング(1日10〜20分から): ふくらはぎを自然に使い、全身の血流を促します。エレベーターを階段に変えるだけでも下半身の運動になります。
- ふくらはぎ伸ばし: 壁を押すように片足を後ろへ引き、かかとを床につけたまま伸ばす(左右各20〜30秒)。固まった筋肉をゆるめ、巡りをサポートします。
ストレッチの正しい秒数・呼吸・タイミングの考え方は、ストレッチの正しいやり方ガイドで体系的に整理しています。あわせてご覧ください。
続けるコツ|1日数分から、ながらで
冷え対策の運動は、激しさより続けやすさが大切です。
- かかと上げや足踏みは「ながら」でできるので、歯みがき・料理・テレビの時間にセットにする。
- 「全部を毎日」ではなく、朝にスクワット10回、夜にかかと上げ20回だけでも構いません。
- まずは2〜3週間、無理のない範囲で続けてみて、体の変化を観察してみましょう。
薬剤師トレーナーの視点では、運動を「ダイエット」ではなく「熱を作る投資」と捉え直すと、続けるモチベーションが変わってきます。冷えにくい体は、めぐりの良い、疲れにくい体でもあります。一度に頑張りすぎて三日坊主になるより、小さく長く——これが結果的に近道です。
冷え性を改善する食事|体を内側から温める食べ方

運動が「熱を作る装置」を育てるなら、食事は「熱の燃料」を整える役割です。ここでは体を内側から温める食べ方を、栄養の観点から解説します。
たんぱく質をしっかりとる(食事誘発性熱産生)
食事をとると、消化・吸収の過程でエネルギーが消費され、体の中で熱が生まれます。これを食事誘発性熱産生(DIT)といいます。三大栄養素の中でも、たんぱく質はこのDITが大きいとされており、食べること自体が体を温めるサポートになります(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット)。
さらに、たんぱく質は筋肉の材料でもあります。運動で「熱を作る筋肉」を育てるには、肉・魚・卵・大豆製品・乳製品などのたんぱく質を毎食コツコツとることが土台になります。
鉄不足に注意(貧血と冷え)
意外と見落とされやすいのが鉄です。
鉄が不足すると、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンが作られにくくなり、全身に酸素が届きにくくなります。すると、エネルギーを燃やして熱を生む力が落ち、冷えにつながることがあるとされています(出典: ツムラ)。月経のある女性は鉄を失いやすく、不足しやすい栄養素です。食事摂取基準では、月経のある成人女性の鉄の推奨量は1日およそ10.5mgとされています。
鉄を多く含む食品(赤身肉・レバー・あさり・ほうれん草・小松菜など)を意識し、ビタミンC(野菜・果物)と一緒にとると吸収が高まりやすいとされています(出典: 国立病院機構 刀根山病院 栄養管理室資料)。鉄の必要量や貧血の有無には個人差があり、サプリメントなどで補う場合は過剰摂取を避けるためにも、不安があれば医療機関にご相談ください。
体を温める食材(生姜・根菜・発酵食品)
「温活食材」として古くから親しまれてきた食材にも、栄養や食べ方の観点でおさえたいポイントがあります。
- 生姜(しょうが): 生の生姜に含まれるジンゲロールは、加熱・乾燥するとショウガオールに変化します。このショウガオールは、体の深部から温める働きが期待されるとされています(出典: マルコメ 発酵美食)。つまり、生姜は「加熱して食べる」のがポイント。すりおろして生で薬味にするより、スープや煮物に入れて温かくして食べるのがおすすめです。
- 根菜類: ごぼう・にんじん・大根・れんこんなど、土の中で育つ根菜は温活食材として紹介されることが多い食材です。煮物やスープで温かくいただくと、体を冷やしにくくなります。
- 発酵食品: 味噌・納豆・甘酒などの発酵食品も、温活の文脈でよく取り上げられます。とくに味噌汁は、温め食材を手軽に組み合わせられる一品です。
やりがちなNG|極端な食事制限が冷えを招く
冷えに悩む方にとくにお伝えしたいのが、「食べないダイエット」が冷えを招きやすいということです。
極端な食事制限を続けると、熱を作る筋肉が落ち、DITによる熱産生の機会も減り、鉄などの栄養も不足しがちになります。「やせたいから食べない」が、結果として「冷えやすく、めぐりの悪い体」につながってしまうことは少なくありません。
薬剤師トレーナーの視点では、冷えと無理なダイエットは、実は地続きの問題です。RBDが大切にしているのは、減らすことではなく「何を、どう食べて、どう代謝を保つか」という食事の質。たんぱく質をしっかり確保し、鉄や温め食材を組み合わせ、筋肉を守りながら整える——この考え方は、冷えにくい体づくりにも、リバウンドしにくい体づくりにも共通しています。
かんたん温活レシピ例(栄養の観点から)
ここでは「体を温める食材を使った一例」として、考え方を2つご紹介します。レシピそのもので冷えが治るわけではありませんが、これまでの栄養ポイントを一皿にまとめる参考にしてください。
例1:生姜入り 具だくさん根菜の味噌汁
- 使う食材の例: にんじん・大根・ごぼう・長ねぎ + すりおろし生姜 + 味噌(+豆腐や油揚げでたんぱく質を追加)
- 栄養のねらい: 加熱した生姜(ショウガオール)+ 根菜 + 発酵食品の味噌を一度に。たんぱく質源を足せば、温め+筋肉の材料も補えます。
例2:鉄を意識した 小松菜と赤身肉の炒めもの
- 使う食材の例: 牛赤身肉・小松菜・パプリカ(ビタミンC)・生姜少々
- 栄養のねらい: 赤身肉と青菜で鉄を、パプリカのビタミンCで鉄の吸収をサポート。たんぱく質もしっかり確保できます。
いずれも温かい状態で食べることを意識すると、温活の観点ではより向いています。味付けや量はご自身の体調に合わせて調整してください。
末端冷え性に効くツボ|手足のセルフケア(東洋医学の一般情報)
手足が冷えて眠れない夜などに、手軽なセルフケアとして取り入れられているのがツボ押しです。
はじめに大切な前提をお伝えします。ツボは東洋医学の考え方にもとづくもので、効果の感じ方には個人差があり、医療行為の代わりになるものではありません。ここでは一般的なセルフケア情報としてご紹介します。気持ちよいと感じる範囲で、リラックスのお供に取り入れてみてください。
冷えのセルフケアに用いられる代表的なツボ
三陰交(さんいんこう)
- 位置: 内くるぶしのいちばん高いところから、指4本分上の、すねの骨の内側のきわ。
- 押し方: 親指でゆっくり、痛気持ちいい程度に5秒ほど押して離す、を数回。
- 冷えや女性特有の不調のセルフケアに用いられるとされています(出典: 救心製薬)。
湧泉(ゆうせん)
- 位置: 足裏の土踏まずよりやや指寄り。足の指を曲げたときにへこむところ。
- 押し方: 両手の親指を重ねて、足裏を支えながらじんわり押す。
- 足の冷え・むくみ・疲労のセルフケアに用いられるとされています(出典: tenki.jp / 日本気象協会)。
八風(はちふう)
- 位置: 足の甲側、指と指の付け根の間(左右の足で計8か所)。
- 押し方: 指の間を反対の手でつまむように、やさしく刺激する。
- 足先が冷えて眠れないときに押すとよいとされています(出典: ヨガジャーナルオンライン)。
押すときのコツと注意点
- 強く押しすぎない: 痛いほど押す必要はありません。「痛気持ちいい」を目安に。
- 体が温まっているときに: 入浴後など、体が温まり血流が良いタイミングが向いています。
- 妊娠中の方は三陰交への刺激に注意: 三陰交は妊娠中に避けるべきとされることがあるため、妊娠中の方や妊娠の可能性がある方は、自己判断で強く刺激せず、医師や助産師にご相談ください。
- 皮膚に傷や炎症がある部位、体調がすぐれないときは避けましょう。
薬剤師トレーナーの視点では、ツボ押しは「これだけで冷えが治る」というものではなく、リラックスして自律神経を整える(=3軸の③)きっかけとして位置づけるのが現実的だと考えています。寝る前にツボを押しながら深呼吸する——その時間そのものが、巡りを乱しにくい体への小さな一歩になります。
運動・食事と合わせたい生活習慣
3軸を支える土台として、毎日の生活習慣も見直してみましょう。とくに③巡りを乱さない(自律神経を整える)の観点で効いてきます。
- 入浴は湯船で温まる: シャワーだけで済ませず、ぬるめのお湯(38〜40℃前後)にゆっくりつかると、体の深部から温まり、副交感神経が優位になりやすいとされています。半身浴も選択肢です。
- 「三首」を温める: 首・手首・足首は皮膚の近くを太い血管が通る場所。ここを温めると、温まった血液が全身に巡りやすくなります。レッグウォーマーやストールが手軽です。
- 睡眠リズムを整える: 睡眠不足や生活リズムの乱れは自律神経のバランスを崩しやすく、冷えにもつながりやすいとされます。
- ストレスをためこまない: 前述のとおり、ストレスで交感神経が緊張すると末梢血管が収縮し、手足が冷えやすくなります(出典: オムロン ヘルスケア)。深呼吸や軽い運動で気分転換を。
熊本は冬の底冷えがある一方、夏はオフィスの冷房で体が冷えやすい環境です。季節を問わず、「冷やさない工夫」と「温める習慣」をセットにしておくと安心です。
【注意】その冷え、病気のサインかも?受診の目安

ここは、この記事で最も大切なパートです。冷えの中には、セルフケアではなく医療機関への相談を優先すべきものがあります。
運動・食事・ツボなどのセルフケアは、原因のはっきりしない軽い冷えに取り入れる選択肢ですが、次のような場合は、自己判断でケアを続けず、医療機関にご相談ください。
- 冷えに加えて、強い倦怠感・むくみ・体重の増加・皮膚の乾燥などがある
- 顔色が悪い・動悸・息切れ・立ちくらみなど、貧血が疑われる症状を伴う
- 手足の指が白や紫に色変わりする、強い痛みやしびれを伴う
- 片側だけ・急に冷えが強くなった、左右差がはっきりある
- セルフケアを続けても改善せず、日常生活に支障が出ている
冷えの背景には、甲状腺機能低下症(寒がり・倦怠感・皮膚の乾燥・体重増加などを伴うことがある)や、貧血、末梢循環障害(レイノー現象など)といった、医療的なケアが必要な状態が隠れていることがあります(出典: 国立病院機構 京都医療センター / からだ接骨院グループ)。
薬剤師トレーナーの視点では、これらのサインは「セルフケアで様子を見てよい冷え」と「専門的な評価が必要な冷え」を分ける、大切な境界線です。とくに急な左右差・色の変化・しびれ、倦怠感や体重変化を伴う冷えは、自己判断で温活を続けるより、まず受診を。何科か迷う場合は、まずはかかりつけ医や内科にご相談ください。これは遠慮するところではありません。
繰り返しますが、本記事は診断・治療を目的とするものではありません。「いつもと違う」「悪化している」と感じたら、迷わず医療機関へ。 これが、体を守るうえで最も確実な判断です。
よくある質問(FAQ)
Q. 運動を始めてから、どれくらいで冷えの変化を感じますか?
A. 感じ方には大きな個人差があり、「何日で変わる」と断定はできません。体を動かしてその場で温まる感覚はすぐに得やすい一方、「冷えにくい体」につながる筋肉量の変化には、数週間〜数か月の継続が目安になります。焦らず、続けやすい形で取り入れてください。
Q. 冷え性は運動だけで改善できますか?
A. 運動は「熱を作る・巡らせる」両面で価値がありますが、それだけで十分とは言えません。本記事の3軸——運動(熱を作る)・食事(燃料と巡り)・生活習慣(自律神経)——を無理なく組み合わせるのが現実的です。また、冷えが病気のサインの場合もあるため、受診の目安にも目を通してください。
Q. 生姜は生で食べてもいいですか?
A. 生でも問題ありませんが、温活の観点では加熱して食べるのがおすすめです。生姜の成分は加熱・乾燥でショウガオールに変化し、深部から温める働きが期待されるとされています。スープや煮物に入れて温かくいただくのが向いています。
Q. 夏の冷房による冷えにも、同じ対策でいいですか?
A. 基本の考え方は同じです。冷房で末端が冷えるときも、ふくらはぎを動かす・温かい飲み物をとる・三首を冷やさない、といった工夫が役立ちます。夏は冷たい飲食で内臓を冷やしやすいので、温かいものを意識的に取り入れるとよいでしょう。
Q. 温かい飲み物なら何でも体を温めますか?
A. 温度として温かいものは一時的に体を温めますが、たとえばコーヒーや緑茶はカフェインの利尿作用で体を冷やす方向に働くという見方もあります。白湯・生姜湯・ほうじ茶・ルイボスティーなどが温活には選ばれやすい飲み物です。冷たい飲み物の飲みすぎには注意しましょう。
まとめ|「熱を作る×巡らせる×乱さない」で冷えにくい体へ
最後に、この記事のポイントを振り返ります。
- 冷えにくい体づくりのカギは、「熱を作る(筋肉)× 熱を巡らせる(血行)× 巡りを乱さない(自律神経)」の3軸。
- 熱の多くは筋肉で作られる。冷え対策の根本は、運動で熱を作る力(筋肉量)を育てること。
- 運動は下半身の筋トレ(スクワット・かかと上げ・足踏み)で熱産生とふくらはぎのポンプ作用を。1日数分・ながらでOK。
- 食事はたんぱく質(DIT)・鉄・温め食材(加熱した生姜・根菜・発酵食品)を意識。極端な食事制限は冷えを招きやすい。
- ツボ(三陰交・湧泉・八風)は東洋医学の一般的セルフケア。効果には個人差があり、医療の代わりではない。妊娠中の三陰交刺激は注意。
- 倦怠感・体重変化・色の変化・しびれ・左右差などを伴う冷えは、受診を優先。
- 効果の感じ方には個人差があり、過度な期待は禁物。続けられることが一番の価値。
冷えは多くの方が抱える悩みですが、「温める」だけでなく「冷えにくい体をつくる」視点を持つと、毎日のセルフケアの意味が変わってきます。まずは今日できる1〜2個から、始めてみてください。
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主な参考・出典
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「食事誘発性熱産生 / DIT」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-030.html
- 厚生労働省 e-ヘルスネット「基礎代謝量」 https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/keywords/basal-metabolism
- 養命酒製造「冷え性改善 自宅でできる簡単筋トレ6選」 https://www.yomeishu.co.jp/health/4265/
- CiNii「熱産生の観点からみた冷え症の生理学的メカニズム ─基礎代謝量および筋肉量を用いた検討─」 https://cir.nii.ac.jp/crid/1050848650322921728
- オムロン ヘルスケア「ストレスと冷え」 https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/topics/188.html
- MELOS「ふくらはぎを鍛えると何が変わる?」 https://melos.media/training/284993/
- ツムラ 漢方通信「冷え症にも関係する鉄分不足!」 https://www.tsumura.co.jp/brand/kampo-communication/health-care/medicinal-meal004.html
- 独立行政法人国立病院機構 刀根山病院 栄養管理室資料(鉄の吸収とビタミンC) https://toneyama.hosp.go.jp/patient/department/nutrition/pdf/news206.pdf
- マルコメ 発酵美食「体を温める食材、冷やす食材」 https://www.marukome.co.jp/marukome_omiso/hakkoubishoku/20190314/10791/
- 救心製薬「冷えのツボ<三陰交>」 https://www.kyushin.co.jp/advice/advice_e09.html
- tenki.jp(日本気象協会)「足裏のツボ」 https://tenki.jp/suppl/romisan/2015/09/10/3011.html
- ヨガジャーナルオンライン「八風のツボ」 https://yogajournal.jp/15991
- 国立病院機構 京都医療センター「甲状腺の病気について」 https://kyoto.hosp.go.jp/html/guide/medicalinfo/endocrinology/kojyosen.html
- からだ接骨院グループ「末端冷え性の原因・治し方」 https://karada-seikotu.com/sensitivity-to-cold/
文責
白木 勝也
RBDジム オーナー・トレーナー
東大薬学部卒・薬剤師国家資格保有。熊本市南区田迎を拠点に、理論に基づいた「リバウンドしないメソッド」で多くの女性のボディメイクをサポート。