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体脂肪率を落とす完全ガイド|測り方・食事・運動の6ステップ

2026.07.29
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「体重は減ったのに、体脂肪率が下がらない。むしろ上がった」
「毎日測っているのに、朝と夜で数値がバラバラで信用できない」
「体脂肪率を落としたいけれど、食事と運動のどちらを優先すればいいのか分からない」

体脂肪率という指標は、体重よりも体の中身を映してくれる一方で、多くの人が”読み方”を知らないまま追いかけている数字でもあります。実はこの混乱には、はっきりした理由があります。体脂肪率は「体脂肪量 ÷ 体重」という分数だからです。分子(体脂肪量)だけでなく分母(体重)も動くため、「体重を減らす」だけのダイエットでは、思ったように数値が動かないことが起こります。

この記事では、熊本市南区・南熊本のパーソナルジムRBDの薬剤師トレーナーが、体脂肪率を「指標としてどう扱い、どう動かすか」を6ステップで整理します。読み終えるころには、次の4点がクリアになっているはずです。

  • 体脂肪率という数字の正体(分数であること/除脂肪量という”守る側”の数字)
  • 現在地の正しい測り方(家庭用体組成計はなぜバラつくのか、どう測ればいいのか)
  • 目標と期間の立て方(体脂肪1kg=約7,200kcalからの逆算と計算例)
  • 食事と運動の役割分担(何を削り、何を守るのか/数字が動かない時の切り分け)

なお、本記事は健康・運動に関する一般的な情報提供を目的としたもので、特定の疾患の診断・治療を目的とするものではありません。体の変化には個人差があり、特定の期間で特定の数値になることを保証するものでもありません。体調に不安がある方、持病のある方は、必ず医療機関にご相談のうえ進めてください。

ジムでジャンプスクワットをする日本人女性


目次

体脂肪率とは?まず「分数」であることを理解する

体脂肪率を落とす方法を知る前に、この数字が何を表しているかを正確に押さえます。ここが曖昧なままだと、努力の方向がずれてしまうからです。

体脂肪率の計算式——分子と分母のどちらが動いているか

体脂肪率は、次の式で表されます。

体脂肪率(%)= 体脂肪量(kg)÷ 体重(kg)× 100

つまり体脂肪率は、「体重のうち、何%が脂肪か」を示す割合です。ここで見落とされがちなのが、分母である体重の中身です。体重は脂肪だけでできているわけではなく、筋肉・骨・水分・臓器といった脂肪以外の組織(=除脂肪量)を含んでいます。

たとえば体重60kg・体脂肪率30%の方であれば、内訳はこうなります。

項目 計算
体重 60.0kg
体脂肪量(分子) 60 × 30% 18.0kg
除脂肪量(分母の残り) 60 – 18 42.0kg

体脂肪率を下げる方法は、数学的には2つしかありません。分子(体脂肪量)を減らすか、分母(体重)のうち除脂肪量を守り抜くかです。逆に言えば、除脂肪量が一緒に減っていくダイエットでは、脂肪が減っていても体脂肪率はなかなか下がりません。

除脂肪体重(LBM)とは——”守るべき側”の数値

除脂肪体重(LBM:Lean Body Mass)とは、体重から体脂肪量を引いた残りのことです。筋肉・骨・内臓・体水分などが含まれます。

この数字が重要なのは、体脂肪率の分母を支えているだけでなく、エネルギー代謝そのものに関わっているからです。厚生労働省 e-ヘルスネットでは、加齢に伴って基礎代謝量が低下していく主な理由は、骨格筋をはじめとする除脂肪量の低下であると説明されています。また、組織1kgあたり1日あたりの代謝量は、骨格筋が約13kcal、脂肪組織が約4.5kcalとされ、基礎代謝に占める割合は骨格筋・肝臓・脳がそれぞれ2割前後を担うとされています(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「加齢とエネルギー代謝」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-07-002.html )。

だからこそ、体脂肪率を扱ううえでの指針はシンプルになります。

落とすのは「体重」ではなく「体脂肪量」。守るのは「除脂肪量」。

この2つを分けて見ることが、体脂肪率を動かすうえでの土台になります。基礎代謝そのもののしくみをもっと詳しく知りたい方は、基礎代謝を上げる10の習慣で臓器別の代謝まで解説していますので、あわせてご覧ください。

皮下脂肪と内臓脂肪——同じ「体脂肪」でも部位が違う

体脂肪はつく場所によって呼び分けられます。厚生労働省 e-ヘルスネットでは、肥満は脂肪のつき方によって内臓脂肪型肥満(リンゴ型)皮下脂肪型肥満(洋ナシ型)に分けられ、このうち内臓脂肪型は、糖尿病・高血圧・脂質代謝異常などの発症確率が高くなるとされています(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-02-001.html )。

タイプ 脂肪がつく場所 体型の呼ばれ方
内臓脂肪型 腹腔内(腸のまわりなど) リンゴ型
皮下脂肪型 皮膚のすぐ下(お尻・太ももなど) 洋ナシ型

なお内臓脂肪型肥満の医学的な診断は、ウエスト周囲長でスクリーニングしたうえで、腹部CTによる内臓脂肪面積100cm²以上を基準とする考え方が示されています(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「内臓脂肪型肥満」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/metabolic/ym-051.html )。家庭用体組成計に表示される「内臓脂肪レベル」は推定値であり、診断とは別物と考えてください。

本記事は「全身の体脂肪率」がテーマのため、部位別の実践は深掘りしません。お腹まわりを重点的に考えたい方は40代女性のお腹の脂肪を落とす方法を参考にしてください。

BMIと体脂肪率は別物——「隠れ肥満」という状態

健康診断でおなじみのBMIは、体重(kg)÷ 身長(m)²で計算され、日本ではBMI25以上が肥満と判定されるとされています(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」)。ただしBMIは体重と身長だけの指標で、体の中身(脂肪か除脂肪か)を区別しません

そのため、BMIは標準の範囲でも体脂肪率が高い状態がみられることがあり、e-ヘルスネットでは、こうした「隠れ肥満」が若い女性に多いと指摘されています(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」)。「痩せているのにお腹だけ気になる」「体重は平均なのに体脂肪率が高い」という方は、まさにこの状態に当てはまる可能性があります。

指標 見ているもの 弱点
BMI 身長に対する体重 中身(脂肪/除脂肪)を区別できない
体脂肪率 体重に占める脂肪の割合 分母(体重)の変化に影響される
体脂肪量・除脂肪量(kg) 実量そのもの 測定機器の精度・条件に左右される

薬剤師トレーナーの視点では——体重計の数字が減ったとき、私たちが最初に確認するのは「何が減ったのか」です。極端な食事制限で3kg落ちても、内訳が脂肪1kg・除脂肪2kgなら体脂肪率はほとんど動きません。数字を扱う職能として言えば、割合(%)は分母の影響を受けるため、必ず「体脂肪量(kg)」と「除脂肪量(kg)」という実量に分解してから判断します。この癖をつけるだけで、遠回りは大きく減ります。


この記事で扱う「6ステップ」の全体像

ここから先は実践編です。体脂肪率の落とし方を、次の6ステップに分けて解説します。順番にも意味があります。

ステップ やること ゴール
① 測る 体組成計を正しい条件で使う 信頼できる「現在地」を持つ
② 決める 体脂肪率・体脂肪量・除脂肪量の3点で目標を置く 何をどれだけ減らすかが数値になる
③ 設計する 体脂肪1kg=約7,200kcalで期間を逆算 無理のないペースが決まる
④ 食べる エネルギー収支を整え、たんぱく質を確保 分子を削り、分母を守る
⑤ 動く 筋トレ+有酸素を役割で組む 消費を増やし、除脂肪量を守る
⑥ 振り返る 同条件・週平均で記録し、原因を切り分ける 停滞に振り回されない

多くの情報が「④食べる」「⑤動く」だけを扱いますが、①〜③が曖昧なままだと努力の成果が見えず、続きません。


ステップ1|現在地を正しく測る(体組成計との付き合い方)

「毎朝測っているのに数値が上下する」——これは機械の故障ではなく、測定方法の原理から説明できる現象です。ここを理解すると、数字に振り回されなくなります。

家庭用体組成計のしくみ=生体電気インピーダンス法(BIA)

家庭用の体組成計の多くは、生体電気インピーダンス法(BIA)という方式を採用しています。厚生労働省 e-ヘルスネットでは、この方法について、体に微弱な電流を流し、電気を通しにくい脂肪の電気抵抗値から体脂肪を計算する方法と説明されています。

そして重要なのがこの一文です。BIAは体の水分量が変化すると体脂肪率も変動しやすい測定方法であるため、測定前は飲食・運動・入浴を避け、毎回同じ時間・同じ状態で測定することが必要とされています(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「体脂肪計」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/metabolic/ym-091.html )。

つまり、朝と夜で体脂肪率が2〜3%違うのは、一晩で脂肪が増減したのではなく、体水分の分布が変わったからと考えるのが自然です。脂肪が1日で1kg増えるには、理論上7,000kcal以上の余剰が必要になります(この根拠はステップ3で解説します)。日々の変動の大半は、水分と測定条件の影響です。

測定条件チェックリスト(12項目)

体組成計メーカーが案内している測定時の注意点を、チェックリストにまとめました(出典: タニタ「体組成を正確にはかるために気を付けたいこと」 https://www.tanita.co.jp/business/special/healthmeter/howtouse/1542/ /タニタマガジン「体組成計の正しい使い方」 https://www.tanita.co.jp/magazine/column/4788/ )。

# 条件 理由
1 毎回同じ時間帯に測る 体水分は時間帯で変動するため
2 食後2時間以上あける 飲食物の重量・水分が影響する
3 入浴後2時間以上あける 発汗・体温上昇で水分状態が変わる
4 運動直後は避ける 発汗と血流変化の影響を受ける
5 測定前に排尿・排便を済ませる 体内の内容物を除いて比較するため
6 発熱・下痢・二日酔いなどの体調不良時は避ける 体水分が通常と大きく異なる
7 脱水・強いむくみがあるときは参考値に留める 水分の偏りが数値に反映される
8 体が冷えきっているときは避ける 末梢の血流状態が影響する
9 裸足で乗る 靴下・ストッキングは通電を妨げる
10 手のひら・足裏を電極にしっかり接触させる 乾燥時は軽く湿らせると安定しやすい
11 同じ服装・同じ姿勢で測る 条件を揃えるため
12 同じ機種で測り続ける 機種間で推定アルゴリズムが異なる

すべてを完璧にする必要はありません。現実的には、「毎朝、起床後トイレを済ませてから、同じ服装で測る」というルールを決めるだけで、比較できるデータになります。

「朝と夜で違う」は異常ではない——見るべきは”週平均”

条件を揃えても、日々の数値は多少上下します。ここで大切なのが見方の切り替えです。

  • 1日単位の値:体水分の変動を多く含む。判断材料にしない
  • 同条件・週平均:脂肪量の変化が見えてくる。これを比較する
  • 月単位の推移:本当のトレンド。ここで方針を判断する

女性の場合は月経周期に伴う体水分の変動もあるため、同じ周期の同じ時期どうしで比べるとさらに読み取りやすくなります。「先週の平均と今週の平均」で見る癖をつけましょう。

数値の目安をどう捉えるか

「自分の体脂肪率は高いのか」という疑問には、公的資料に基づく目安があります。e-ヘルスネットでは、成人女性は30%、成人男性は25%を超えると「体脂肪量増加」といわれると説明されています(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「体脂肪計」)。

一方で、「理想の体脂肪率は◯%」という統一された公的基準は存在しません。体組成計メーカーの判定表も、WHOと日本肥満学会の肥満判定に基づいて区分されており、年齢や性別で幅があります(出典: タニタ「体組成計の測定項目の見かたについて」 https://www.tanita.co.jp/content/measure_taisoseikei/ )。細かい区分はお使いの体組成計の判定表を確認するのが確実です。

薬剤師トレーナーの視点では——「毎日測る」こと自体は正解だと考えています。データは多いほどトレンドが見えるからです。問題は比べ方のほうです。薬の血中濃度でも、1回の測定値ではなく条件を揃えた推移で判断します。体組成も同じで、条件がバラバラなデータをいくら集めても意味のある比較にはなりません。条件を固定して、平均で見る。これだけで、体組成計は「一喜一憂の装置」から「意思決定の道具」に変わります。


ステップ2|目標体脂肪率を決める(3点セットで置く)

現在地が分かったら、次は目標です。ここでも割合だけで目標を置かないのがポイントになります。

目標は「体脂肪率」「体脂肪量」「除脂肪量」の3点セットで

体脂肪率だけを目標にすると、達成手段が「体重を減らす」に流れがちです。そこでRBDジムでは、目標を次の3点セットで置くことをおすすめしています。

  1. 目標体脂肪率(%)——最終的に見たい割合
  2. 目標体脂肪量(kg)——実際に減らす分子の量
  3. 維持したい除脂肪量(kg)——守り抜く分母の中身

3つ目の「除脂肪量を守る」という目標があるかどうかで、選ぶ手段がまったく変わります。極端な絶食や単品ダイエットは、3つ目の目標と両立しないため、自動的に選択肢から外れます。

目標設定シート(計算例つき)

実際に計算してみましょう。ここでは除脂肪量を維持できたと仮定して、必要な減脂肪量を求めます。

【例1】女性・体重60.0kg・体脂肪率30% → 目標25%

ステップ 計算 結果
① 現在の体脂肪量 60.0 × 30% 18.0kg
② 現在の除脂肪量 60.0 – 18.0 42.0kg
③ 目標体重(除脂肪量を維持する前提) 42.0 ÷(1 – 0.25) 56.0kg
④ 目標体脂肪量 56.0 – 42.0 14.0kg
必要な減脂肪量 18.0 – 14.0 4.0kg

【例2】男性・体重70.0kg・体脂肪率25% → 目標20%

同じ手順で計算すると、現在の体脂肪量17.5kg/除脂肪量52.5kg、目標体重は 52.5 ÷(1 – 0.20)= 65.6kg、目標体脂肪量13.1kg。必要な減脂肪量は約4.4kgとなります。

この計算のいいところは、「体脂肪率-5%」という曖昧な目標が、「体脂肪を約4kg減らし、除脂肪量42kgを守る」という具体的な行動目標に変換される点です。次のステップ3では、この「約4kg」から必要な期間を逆算します。

なお、これはあくまで計算上の目安です。実際には除脂肪量も多少変動し、体水分の増減も加わるため、数値どおりに進むとは限りません。

「-5%」は現実的か?——1%刻みのマイルストーンで考える

「体脂肪率-5%」という目標をよく見かけますが、上の例1が示すとおり、これは体脂肪を約4kg減らすことを意味します。次のステップ3で扱う「体脂肪1kg=約7,200kcal」を当てはめると、必要なエネルギー赤字はおよそ28,800kcal。仮に1ヶ月で作るなら1日あたり約960kcalという規模になり、除脂肪量も一緒に落ちやすくなります。相応の期間をかける前提で考えてください。「1ヶ月で-5%」のように短期間での達成をうたう情報には注意が必要です。

RBDジムがおすすめしているのは、-1%刻みでマイルストーンを置く方法です。体脂肪率30%の方なら、まず29%だけを見る。届いたら28%、次に27%——というように区切っていきます。

理由は2つあります。ひとつは、-1%であれば数週間〜1ヶ月程度で到達しうる範囲で、達成感が得られやすいこと。もうひとつは、途中で除脂肪量の推移を確認でき、進め方が速すぎないかを点検できることです。大きな目標を一気に狙うより、区切って進めるほうが取り組みやすくなります(もちろん個人差があります)。

落としすぎのリスク——体脂肪は「悪者」ではない

体脂肪は、エネルギーの貯蔵だけでなく、体温の保持、臓器の保護、ホルモンに関わる働きなど、体にとって必要な役割を担っています。低ければ低いほど良い、という指標ではありません。

特に女性では、利用可能エネルギーの不足 → 月経の異常 → 骨の健康への影響という関連が「女性アスリートの三主徴」として知られており、過度なエネルギー不足がコンディションに影響しうることが指摘されています(出典: 日本スポーツ振興センター(JISS)「女性アスリートの三主徴」 https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/Portals/0/resources/jiss/column/woman/seichoki_handobook_5.pdf /早稲田大学「女性アスリートのコンディショニングと栄養」 https://www.waseda.jp/prj-female-ath/problem/fat/ )。

これは「体脂肪率◯%以下になると必ず不調になる」という話ではありません。ただ、月経周期の乱れ、強い倦怠感、髪や肌の変化、冷え、集中力の低下などのサインが出たときは、減量ペースを見直すか、医療機関にご相談ください。数字より体調が優先です。

薬剤師トレーナーの視点では——目標を立てるとき、多くの方が「減らす数字」だけを決めます。でも私たちがまずお聞きするのは「守る数字」のほうです。除脂肪量42kgを守る、月経周期を乱さない、日常生活のパフォーマンスを落とさない。守る条件を先に決めておくと、無理な手段は自然に選べなくなります。体脂肪はホルモンや体温保持にも関わる、削る対象であると同時に必要な組織でもあるからです。


ステップ3|期間を設計する(体脂肪1kg=約7,200kcalで逆算)

「どれくらいで落ちるのか」は、最も多い疑問です。ここは概算ですが、計算できます

体脂肪1g=約7.2kcal、1kg=約7,200kcal

公的なスポーツ医科学機関である横浜市スポーツ医科学センターでは、体脂肪1gは約7.2kcalであり、体脂肪1kgを減らすには約7,200kcalの消費が必要と説明されています。あわせて、初心者の目安として1ヶ月に体脂肪1kgの減量を目標にするとよい、とも示されています(出典: 横浜市スポーツ医科学センター「肥満と減量(実践編)」 https://www.yspc-ysmc.jp/ysmc/column/health-fitness/diet-practice-2.html )。

なぜ9kcalではなく7.2kcalなのか

栄養学では「脂質は1gあたり9kcal」と習います。ではなぜ体脂肪は7.2kcalなのでしょうか。

答えは、体の脂肪細胞は純粋な脂質のかたまりではないからです。脂肪細胞に含まれるのは約8割が脂質で、残りの約2割は水分などが占めるとされています。そのため、

9kcal/g × 1,000g × 0.8 ≒ 7,200kcal

という計算になります(出典: タニタマガジン「カロリーとは」 https://www.tanita.co.jp/magazine/column/4799/ )。この「0.8を掛ける」という一手間を知っておくと、7,200kcalという数字が丸暗記ではなく、根拠のある概算として使えるようになります。

「体脂肪率1%」を落とすのに必要なkcalと日数

ここからが実践です。2つの計算方法を紹介します。

【簡易法】ざっくり把握したいとき(3ステップ)

  1. 現在の体重 × 1% = おおよその必要減脂肪量(kg)
  2. ①× 7,200kcal = 必要な総エネルギー赤字
  3. ②÷ 1日あたりの赤字 = 必要日数

体重60kgの方であれば、
① 60 × 1% = 0.6kg
② 0.6 × 7,200 = 4,320kcal
③ 4,320 ÷ 240kcal/日 = 約18日

【厳密法】除脂肪量を固定して計算するとき

簡易法は分母である体重も減ることを考慮していないため、必要量をやや少なめに見積もります。ステップ2の式で、除脂肪量42.0kgを維持したまま30%→29%を求めると、目標体重は 42.0 ÷(1 – 0.29)= 約59.15kg、目標体脂肪量は約17.15kg。必要減脂肪量は約0.85kg=約6,100kcalとなり、1日240kcalの赤字なら約25日かかる計算です。

つまり、体脂肪率-1%はおおむね「1ヶ月前後」がひとつの目安になります。簡易法より少し長めに見積もると、計画とのズレが小さくなります。

いずれもあくまで計算上の目安です。実際には個人差、体水分の変動、除脂肪量の増減によって前後します。特定の期間で特定の数値になることを保証するものではありません。

現実的なペースの目安と、急ぎすぎない理由

上の計算を踏まえた、ペースの目安です。

項目 一つの目安
1日あたりのエネルギー赤字 約200〜300kcal
1ヶ月の減脂肪量 体脂肪 約1kg(初心者の目安)
1ヶ月の体脂肪率の変化 約1%前後
体脂肪率-5%の到達 数ヶ月〜半年以上を見込む

「1日200〜300kcalの赤字」は、ごはん軽く1杯分を減らす、あるいは30〜40分ほど歩く、といった規模感です。地味に見えますが、これを続けられるかどうかが結果を分けます。

急激な赤字をおすすめしない理由もここにあります。エネルギー不足が大きくなるほど、体は脂肪だけでなく除脂肪量もエネルギー源として使いやすくなると考えられています。除脂肪量が減れば基礎代謝の低下につながるとされ、体脂肪率という分数も下がりにくくなります。これが、RBDジムが「リバウンドしにくい設計を目指したメソッド」を重視している理由です。

薬剤師トレーナーの視点では——エネルギー赤字は「大きく短く」より「小さく長く」。薬の用量設計と同じで、効かせたいからと一気に増やせば副作用(ここでは除脂肪量の減少や強い空腹感、生活の破綻)が先に出ます。7,200kcalという数字が教えてくれるのは、体脂肪は簡単には増えないし、簡単には減らないということ。1週間で2kg動いたなら、その大半は水分と考えるほうが理にかなっています。


ステップ4|食事——体脂肪を減らし、除脂肪量を守る

食事の役割は2つあります。分子(体脂肪量)を削るためのエネルギー赤字と、分母(除脂肪量)を守るための栄養です。この2つを同時に成立させるのが設計のポイントです。

大前提はエネルギー収支——ただし「作り方」が問題

体脂肪が減っていくかどうかは、基本的には摂取エネルギー < 消費エネルギーという収支に沿って考えられています。ここは大前提です。

ただし、同じ「1日300kcalの赤字」でも作り方で結果は変わります。主食だけを大きく削ればたんぱく質が不足しやすく、欠食すれば次の食事で食べすぎやすい。たんぱく質を確保したうえで、脂質と間食を調整する——この順序なら、満足感を保ちながら赤字を作れます。つまり、「何を減らすか」を設計しないと、脂肪より先に除脂肪量が削られるリスクがあります。

たんぱく質を確保する——研究が示す目安

除脂肪量を守るうえで主役になるのがたんぱく質です。e-ヘルスネットでは、たんぱく質は筋肉・臓器・皮膚・毛髪などの体構成成分、ホルモン・酵素・抗体などの体調節機能成分として存在する重要な栄養素と説明されています(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「たんぱく質」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/food/ye-044.html )。

具体的な量については、レジスタンストレーニング(筋トレ)を行う成人を対象とした大規模なメタ解析が参考になります。49研究・1,863名を統合したこの研究では、総たんぱく質摂取量が体重1kgあたり約1.6g/日を超えても、除脂肪量(FFM)のさらなる増加には寄与しなかったと報告されています。信頼区間の上限は約2.2g/kg/日とされており、実務で「1.6〜2.2g/kg/日」という幅が語られる根拠になっています(出典: Morton RW, et al. Br J Sports Med. 2018;52(6):376-384. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28698222/ )。

体重60kgの方であれば、1.6g/kg/日は約96g/日にあたります。1食あたり30g前後が目安になる計算です。

食品(目安量) たんぱく質量の目安
鶏むね肉 100g 約20〜23g
卵 1個 約6g
納豆 1パック 約7〜8g
木綿豆腐 100g 約7g
鮭 1切れ(80g) 約18g
ギリシャヨーグルト 100g 約10g

※食品成分値は製品や部位で異なります。あくまで目安としてご覧ください。

なお、腎機能に不安がある方や治療中の方は、たんぱく質量の調整が必要な場合があります。自己判断で増やさず、必ず主治医にご相談ください。

具体的なPFC(たんぱく質・脂質・炭水化物)の計算手順や、アプリを使った管理方法は、PFCバランスダイエットの基本でくわしく解説しています。本記事では「体脂肪率を落とす文脈での方針」までに留めます。

脂質・糖質の考え方——極端に減らさない

体脂肪率を落とそうとすると、脂質や糖質をゼロに近づけたくなるかもしれません。しかし、どちらも体に必要な栄養素です。

  • 脂質:ホルモンや細胞膜の材料になり、脂溶性ビタミンの吸収にも関わります。極端に減らすと肌や髪の状態、ホルモンバランスに影響が出ることがあります。
  • 糖質:主要なエネルギー源です。極端に減らすと、トレーニングの強度が保てず、結果的に除脂肪量を守りにくくなることがあります。

減らすなら、まずは調整しやすいところからです。揚げ物の頻度、調理油の量、菓子パン・スイーツ・甘い飲み物、そしてアルコール。アルコールは1gあたり約7kcalとされ、おつまみとセットになりやすい点も含めて収支に影響しやすい項目です。「やめれば痩せる」という話ではありませんが、赤字を作りたい局面では見直す価値があります

食事の”質”で差がつく要素

同じカロリーでも、満足感と続けやすさに差が出るポイントがあります。

  • 食物繊維を意識する:野菜・きのこ・海藻・豆類。かさが増え、満足感が得られやすくなります。
  • 早食いを避ける:よく噛んでゆっくり食べることは、食べすぎの抑制につながりやすいと考えられています。
  • 飲み物のエネルギーに注意:加糖飲料やカフェのドリンクは、無意識に赤字を打ち消しやすい項目です。
  • たんぱく質を先に確保する:主菜を決めてから主食・副菜を組み立てると、量の設計が安定します。

やってはいけない食事——「食べない」は体脂肪率を下げない

最後に、避けたい進め方を整理します。

NGな進め方 何が起きやすいか
極端な絶食・1日1食 エネルギー不足が大きく、除脂肪量が削られやすい
単品ダイエット たんぱく質・ビタミン・ミネラルが不足しやすい
水分を控えて体重を落とす 体組成計の値が一時的に動くだけで、脂肪は減っていない
主食を完全に抜き続ける 運動強度が保てず、除脂肪量を守りにくい

いずれも共通するのは、分子(体脂肪量)より先に分母の中身(除脂肪量)を削ってしまうという点です。体重計の数字は動きますが、体脂肪率という分数は思ったほど動きません。

薬剤師トレーナーの視点では——「食べないほど早く落ちる」は、体脂肪率という指標に関しては成り立ちにくい発想です。分子だけを狙って削ることはできず、エネルギー不足が大きいほど分母の中身(除脂肪量)も一緒に落ちるからです。食事指導で最初に整えるのは「減らす量」ではなく「たんぱく質を毎食確保する仕組み」。守る側を固めてから削る——この順番が、一生使える食事管理の第一歩だと考えています。


ステップ5|運動——筋トレと有酸素の役割分担

運動は「消費を増やす」だけの手段ではありません。体脂肪率という分数においては、分子を削る役割と分母を守る役割を分けて考えると、迷いがなくなります。

まず押さえたい公的な推奨量

厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、成人に対して次のような推奨が示されています(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 推奨事項(成人版)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-00-002.html /概要PDF https://www.mhlw.go.jp/content/001204942.pdf )。

項目 推奨されている内容
身体活動量 3メッツ以上の身体活動を週23メッツ・時以上(歩行以上の強度で1日60分以上=おおむね1日8,000歩以上に相当)
運動 息が弾み汗をかく程度の運動を週60分以上
筋力トレーニング 週2〜3日
座位行動 座りっぱなしの時間が長くなりすぎないよう注意

まずはこの水準を「土台」として押さえてください。特別なプログラムを組む前に、ここが満たされているかを確認するほうが確実です。

有酸素運動の役割——「分子」を削る

ウォーキング・ジョギング・自転車・水泳などの有酸素運動の主な役割は、エネルギー消費を増やしてマイナス収支を作りやすくすることです。食事だけで赤字を作ろうとすると量を大きく減らすことになりますが、運動を組み合わせれば、食事の削減幅を小さくしたまま同じ赤字を作れます。1日300kcalの赤字なら、「食事150kcal+運動150kcal」で分け合うほうが、たんぱく質を確保しながら続けやすくなります。

筋トレの役割——「分母」を守る

一方、筋トレの主な役割は、減量中に除脂肪量を守ることです。ここには質の高いエビデンスがあります。カロリー制限中の運動様式を比較したシステマティックレビュー&ネットワークメタ解析(62件のRCT・4,429名)では、体重の減少には高強度の有酸素運動が有効である一方、除脂肪量(lean mass)の維持には、カロリー制限に中〜低強度のレジスタンス運動または有酸素運動を組み合わせる方法が最適と報告されています。体脂肪の低減と除脂肪量の保持を両立する戦略として支持されるという内容です(出典: Xie Y, et al. “Comparing exercise modalities during caloric restriction: a systematic review and network meta-analysis on body composition.” Front Nutr. 2025;12:1579024. https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12158682/ )。

つまり、「減量中に運動をどう組むか」は、落ちる中身(脂肪か除脂肪か)に関わるということです。体脂肪率という分数を動かしたいなら、筋トレを外す選択肢は考えにくくなります。

「筋トレ→有酸素の順番」は必須か

ネット上では「筋トレ→有酸素の順が正しい」とよく語られます。トレーニング現場でもこの順番が推奨されることは多く、疲労が少ない状態でフォームを保ちやすい、という実務上の合理性はあります。

ただし、この順番でなければ効果が出ない、と断定できるほどの明確な一次資料があるわけではありません。それよりも優先度が高いのは、次の点です。

順番より、週の合計量を確保すること。

「順番が守れないからやらない」よりも、「朝に歩いて夜に筋トレ」でも「別々の日」でも、週の中で筋トレ2〜3回と運動60分以上が積み上がっているほうが、はるかに意味があります。

忙しい人の最小構成(週次スケジュール例)

現実的な最小構成の例を挙げます。あくまで一例で、体力や生活に合わせて調整してください。

曜日 内容 目安時間
休養(通勤・買い物で歩数を確保)
全身の筋トレ(下半身中心:スクワット・ヒップヒンジ等) 30分
ウォーキング(早歩き) 20〜30分
休養(階段を使う、こまめに立つ)
全身の筋トレ(上半身・体幹中心) 30分
ウォーキング/好きな運動 30分
休養(家事・外出で活動量を確保)

これで筋トレ週2回+運動週80〜90分となり、公的推奨の水準に届きます。「毎日1時間」より、この形のほうが続けやすいはずです。自宅で行う場合の種目選びは自宅で始める筋トレ完全ガイドも参考にしてください。

NEAT(日常の活動)を落とさない工夫

見落とされがちなのが、運動以外の日常活動(NEAT)です。減量中に疲労がたまると、無意識に動く量が減り、消費エネルギーが目減りすることがあります。

  • エレベーターより階段を選ぶ
  • 1時間に一度は立ち上がる/通話は立って行う(座位行動を切る)
  • 一駅分歩く、昼休みに短い散歩を入れる

こうした積み重ねは、ガイド2023が示す「座位行動を長くしすぎない」という推奨とも一致します。日常活動と代謝の関係は基礎代謝を上げる10の習慣でさらに詳しく扱っています。

なお、「気になる部位の運動をすれば、その部位の脂肪が落ちる」といういわゆる部分痩せは、複数の研究を統合したメタ解析でも支持されていません。部位別のアプローチについては下半身痩せ完全ガイドをご覧ください。

薬剤師トレーナーの視点では——運動の役割は、この一文に集約されます。有酸素は「分子」を削り、筋トレは「分母」を守る。有酸素だけで進めれば除脂肪量も落ちやすく、筋トレだけでは赤字が作りにくい。だから両方を、それぞれの役割で組みます。順番や種目にこだわる前に、週の合計量が積み上がっているかを確認してください。


ステップ6|測定と振り返り——体脂肪率が下がらない時の切り分け

「きちんとやっているのに数字が動かない」——このとき、多くの方は食事や運動を疑います。しかし、疑う順番があります

① まず疑うのは「測定条件」

ステップ1で見たとおり、BIAは体水分の影響を受けます。数値が動かない・悪化したように見えるとき、まず次を確認してください。

  • 測定の時間帯は揃っていたか
  • 前日に飲酒・塩分の多い食事・激しい運動はなかったか
  • 睡眠不足やむくみはないか
  • 女性の場合、月経周期のどの時期か

1〜2回の測定値で判断しない。これが鉄則です。

② 次に見るのは「体脂肪量」と「除脂肪量」の実量

体脂肪率(%)だけを見ていると、何が起きているか分かりません。kg単位の実量に分解すると、正体が見えてきます。

体重 体脂肪量 除脂肪量 読み解き
理想的。脂肪だけが減っている
減量ペースが速すぎる可能性。食事量・たんぱく質を見直す
望ましくない。体重は減っても中身が守れていない
体重は変わらないが良い変化。体脂肪率は下がる

一番下のパターンは特に重要です。体重計だけを見ていると「まったく成果が出ていない」と感じますが、実際には体脂肪率が下がっていることもあります。

③ 「体重が減ったのに体脂肪率が上がった」の読み解き方

冒頭で触れた最大の混乱ポイントを、数字で確認します。体重60.0kg・体脂肪率30%(体脂肪18.0kg/除脂肪42.0kg)の方が、3kg減量した3パターンを比べてみましょう。

パターン 減った内訳 減量後の体重 減量後の体脂肪量 減量後の体脂肪率
A:脂肪だけ3kg減 脂肪3.0kg/除脂肪0kg 57.0kg 15.0kg 約26.3%(-3.7%)
B:半々で減 脂肪1.5kg/除脂肪1.5kg 57.0kg 16.5kg 約28.9%(-1.1%)
C:主に除脂肪が減 脂肪0.5kg/除脂肪2.5kg 57.0kg 17.5kg 約30.7%(+0.7%)

同じ「-3kg」でも、体脂肪率は-3.7%から+0.7%まで振れます。パターンCのように、体重が減っているのに体脂肪率が上がることも、計算上は普通に起こります。

そして、パターンCが起こりやすいのは、たんぱく質が不足した急激な食事制限をしたときだと考えられます。体脂肪率が下がらないときの答えは、「もっと減らす」ではなく「減らし方を変える」であることが少なくありません。

④ 生理的な停滞の可能性

測定条件も内訳も問題なく、それでも数週間動かない場合は、体が新しい体重に適応した停滞期の可能性があります。停滞期の原因の見極め方や具体的な対処法は、ダイエット停滞期を抜ける7つの方法でくわしく解説していますので、そちらをご覧ください。

また女性の場合、月経周期に伴う体水分の変動で、数値が1〜2週間動かないように見えることがあります。周期の同じ時期どうしで比べると、実態が見えやすくなります。

記録のフォーマット例

最後に、実際に使える記録フォーマットを載せておきます。週1回・同じ曜日・同じ条件で記録するだけで十分です。

日付 体重(kg) 体脂肪率(%) 体脂肪量(kg) 除脂肪量(kg) ウエスト(cm) メモ
4/1 60.0 30.0 18.0 42.0 78.0 開始
4/8 59.4 29.6 17.6 41.8 77.5
4/15 59.5 29.8 17.7 41.8 77.4 前日に外食

計算はシンプルです。

  • 体脂肪量(kg)= 体重 × 体脂肪率 ÷ 100
  • 除脂肪量(kg)= 体重 – 体脂肪量

体組成計に表示されない場合でも、この2行を電卓で計算するだけで判断材料が増えます。ウエスト周囲も加えておくと、体組成計の数値がぶれても変化を確認しやすくなります。

薬剤師トレーナーの視点では——数字が動かないとき、最初に見直すべきは食事でも運動でもなく、測り方です。条件がバラバラなデータで「効果がない」と判断してしまうのは、最ももったいない誤りです。そのうえで実量に分解する。この2段階だけで、「頑張っているのに報われない」という感覚は大きく減ります。測定は結果の確認ではなく、次の一手を決めるための情報収集です。


体脂肪率を落とす生活習慣(睡眠と継続の設計)

食事と運動を整えても、土台となる生活習慣が崩れていると続きません。ここでは影響の大きい2点に絞ります。

睡眠不足は食欲に関わるホルモンに影響する

厚生労働省 e-ヘルスネットでは、数日間の睡眠不足でも、食欲を抑えるホルモン「レプチン」が低下し、食欲を高めるホルモン「グレリン」が増加して食欲が亢進することが報告されていると説明されています。慢性的な睡眠不足はインスリン抵抗性とも関連するとされています(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠と生活習慣病との深い関係」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-008.html )。

「意志が弱いから間食してしまう」と自分を責める前に、睡眠時間を確認する価値は十分にあります。睡眠の整え方は睡眠の質を高める10の習慣でくわしく扱っています。

継続の設計——「一生使える形」にするために

体脂肪率を落とす取り組みで最も難しいのは、方法を知ることではなく続けることです。RBDジムでは、次の3点を意識していただいています。

  1. やめたら戻る方法を選ばない——期間限定の極端な制限は、終わった瞬間に元に戻ります
  2. 記録の負担を最小にする——週1回・5項目まで。毎日詳細に記録すると続きません
  3. 「守る数字」を先に決める——除脂肪量と体調。これを崩さない範囲で進める

減量後の生活が、減量中の生活と大きく違わないこと。これが、リバウンドしにくい設計の本質だと考えています。

薬剤師トレーナーの視点では——睡眠不足のときにお菓子に手が伸びるのは、意志の問題というより生理的な変化の側面があります。レプチンとグレリンの動きが報告されている以上、「気合いで我慢する」より「寝る時間を30分早める」ほうが合理的です。うまくいかないとき、食事と運動ばかり見直しがちですが、土台(睡眠・生活リズム)が崩れていないかを先に確認してみてください。


体脂肪率を落とすときの注意点

最後に、体脂肪率を追いかけるときに特に気をつけたい2点を整理します。なお「体重だけを追う」「毎日の数値に一喜一憂する」「水分を控えて体重を落とす」といった落とし穴については、ステップ1・ステップ6で触れたとおりです。

① 体脂肪率が極端に低い状態のリスク

体脂肪率は低ければ低いほど良い指標ではありません。ステップ2で触れたとおり、エネルギー不足の状態が続くと、月経や骨の健康に影響しうることが指摘されています。

次のようなサインがあるときは、減量を続けず、医療機関にご相談ください。

  • 月経周期の乱れ、月経が止まった
  • 強い倦怠感、めまい、立ちくらみが続く
  • 髪が抜けやすい、肌の乾燥がひどい
  • 極端な冷え、集中力の低下
  • 食事に対する強い不安や罪悪感がある

体組成の数値より、体調とコンディションが優先です。これは医療職として、必ずお伝えしておきたい点です。

② サプリメントや器具に「痩身効果」を期待しすぎない

体脂肪率に関する情報には、特定の食品・サプリメント・器具の紹介が伴うことがあります。RBDジムでは、特定の商品で体脂肪が減るという説明はしません。土台となるのはエネルギー収支・たんぱく質・トレーニング・睡眠であり、これらが整っていない状態で補助手段に期待しても、結果につながりにくいためです。

薬剤師トレーナーの視点では——医療職として一番お伝えしたいのは、「数字のために体調を犠牲にしない」ということです。体脂肪率は健康の一側面を映す指標にすぎず、それ自体が目的ではありません。測定値が良くても不調なら、その進め方は成功していないと考えます。無理のないペースを守り、気になる症状があれば専門家や医療機関に相談する。遠回りに見えて、結局はいちばん続けやすい道だと考えています。


よくある質問(FAQ)

Q. 体脂肪率1%を落とすのに、どれくらいかかりますか?

A. 計算上の目安として、体重60kgの方が除脂肪量を維持しながら1%下げるには体脂肪を約0.85kg減らす計算になり、約6,100kcalの赤字に相当します。1日240kcalの赤字なら約25日、つまり1ヶ月前後が一つの目安です。個人差があり、体水分の変動でも数値は前後するため、特定の期間での達成を保証するものではありません。

Q. 体重は減ったのに、体脂肪率が下がりません。なぜですか?

A. 体脂肪率は「体脂肪量 ÷ 体重」という分数のため、除脂肪量(筋肉など)が一緒に減っていると下がりにくくなります。極端な食事制限やたんぱく質不足のときに起こりやすいパターンです。体脂肪量(kg)と除脂肪量(kg)に分解して推移を確認し、必要なら減量ペースを緩め、たんぱく質を確保してみてください。

Q. 家庭用体組成計の数値は正確ですか?朝と夜で違うのはなぜですか?

A. 家庭用体組成計の多くは生体電気インピーダンス法(BIA)を使っており、体の水分量が変化すると数値も変動しやすいとされています(出典: 厚生労働省 e-ヘルスネット「体脂肪計」)。朝と夜の差の多くは体水分によるもので、異常ではありません。同じ時間・同じ条件で測り、週平均で比較するのが実用的です。

Q. 男性と女性で目安は違いますか?

A. 違います。e-ヘルスネットでは、成人女性は30%、成人男性は25%を超えると「体脂肪量増加」といわれると説明されています。女性はホルモンの働きなどにより、生理的に男性より体脂肪率が高くなる傾向があります。

Q. 筋トレと有酸素運動、どちらを優先すべきですか?

A. 役割が違うため、両方を組み合わせるのが基本です。有酸素運動は消費を増やして赤字を作りやすくし、筋トレは減量中の除脂肪量を守る役割を担います。減量中の運動様式を比較したネットワークメタ解析でも、除脂肪量の維持にはカロリー制限+レジスタンス運動などの組み合わせが支持されています(出典: Xie Y, et al. Front Nutr. 2025)。時間が限られるなら、まずは筋トレ週2回+日常の歩数確保から始めてみてください。

Q. 体脂肪率は何%を目指すべき?1ヶ月で-5%は可能ですか?

A. 「理想は◯%」という統一された公的基準はありません。e-ヘルスネットの目安(男性25%・女性30%)を参考に、現在地から-1%ずつ置くのが現実的です。一般的なペースの目安は1ヶ月で体脂肪1kg程度、体脂肪率で1%前後とされており(出典: 横浜市スポーツ医科学センター)、-5%は体脂肪約4kg分に相当します。1ヶ月で達成するには非常に大きな赤字が必要で、除脂肪量の減少や体調への影響のリスクが高まるため、数ヶ月単位での計画をおすすめします。効果や必要期間には個人差があり、特定の数値を保証するものではありません。また、体脂肪はホルモンや体温保持にも関わる組織で、低すぎる状態は望ましくありません。

Q. 体脂肪率が高いと言われました。すぐに病院に行くべきですか?

A. 体脂肪率の数値だけで病気を判断することはできません。ただし、健康診断で指摘がある場合や、ウエスト周囲・血圧・血糖・脂質などの数値に気になる点がある場合は、自己流の減量を始める前に医療機関にご相談ください。持病がある方や服薬中の方も同様です。


まとめ|体脂肪率は「分子を削り、分母を守る」で動く

最後に、この記事のポイントを整理します。

  • 体脂肪率は「体脂肪量 ÷ 体重」という分数。だから「体重を減らす」だけでは下がりにくい——同じ-3kgでも、内訳次第で体脂肪率は-3.7%にも+0.7%にもなりうる
  • ①測る:家庭用体組成計はBIA方式で体水分の影響を受ける。条件を揃え、週平均で見る
  • ②決める:目標は「体脂肪率・体脂肪量・除脂肪量」の3点セット。-1%刻みでマイルストーンを置く
  • ③設計する:体脂肪1kg=約7,200kcal(脂肪細胞の約8割が脂質=9kcal×0.8)。1日200〜300kcalの赤字で、-1%はおおむね1ヶ月前後が目安
  • ④食べる:赤字は「作り方」が肝心。たんぱく質を確保し、極端な制限を避ける
  • ⑤動く:有酸素は分子を削り、筋トレは分母を守る。順番より週の合計量(筋トレ週2〜3日/運動週60分以上)
  • ⑥振り返る:数字が動かないときは、①測定条件 ②実量(kg)への分解 ③期間 ④生理的停滞、の順に切り分ける
  • 睡眠や日常の活動量といった土台も効いてくる。体脂肪率は低ければ低いほど良い指標ではなく、体調のサインがあれば医療機関へ

体脂肪率という数字は、正しく読めば頼りになる指標です。逆に、読み方を知らないまま追いかけると努力の方向がずれてしまいます。まずは今日、測定条件を1つ決めるところから始めてみてください。「毎朝、起床後トイレを済ませてから測る」——それだけで、明日からのデータは意味を持ち始めます。なお、体の変化には個人差がありますので、無理のない範囲で進めてくださいね。


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主な参考・出典

  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「体脂肪計」(BIAの原理/体水分による変動/測定条件/成人男性25%・女性30%) https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/metabolic/ym-091.html
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」(BMI25以上/隠れ肥満/内臓脂肪型・皮下脂肪型) https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-02-001.html
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「内臓脂肪型肥満」(内臓脂肪面積100cm²以上) https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/metabolic/ym-051.html
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「加齢とエネルギー代謝」(基礎代謝低下の主因=除脂肪量の低下/臓器・組織別代謝量) https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/food/e-07-002.html
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 推奨事項(成人版)」 https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/exercise/s-00-002.html /概要PDF https://www.mhlw.go.jp/content/001204942.pdf
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット「睡眠と生活習慣病との深い関係」(レプチン・グレリン) https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/heart/k-02-008.html

文責

白木 勝也
RBDジム オーナー・トレーナー
東大薬学部卒・薬剤師国家資格保有。熊本市南区を拠点に、理論に基づいた「リバウンドしにくい設計を目指したメソッド」で多くの女性のボディメイクをサポート。

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